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原作者・平山夢明「もう少し手加減しないと観て死ぬ人が出るなと思った」 映画「無垢の祈り」は公開されるのか!?

    無垢の祈り

 宮部みゆきの『ソロモンの偽証』や乾くるみの『イニシエーション・ラブ』など、2015年も数多くの小説が映画化&公開された。9月以降も、伊坂幸太郎の『グラスホッパー』や有川浩の『図書館戦争』といった人気作の公開が控えているが、そんな中、すでに完成しているにも関わらず上映が決まらず、「するの? しないの?」とファンをやきもきさせている作品が存在する。

 “人体標本を作る男”エドワード・ゲインや、“赤い切り裂き魔”アンドレイ・チカチーロといった、世界中を震撼させた殺人鬼のノンフィクション作品『異常快楽殺人』(1994年)、“和製『羊たちの沈黙』”と呼ばれる傑作でありながら、入手困難のため高額で取り引きされている『SINKER 沈むもの』(1996年)。そして、人の不幸をコレクションする男・オギーの依頼で、自分の子どもの首を切断した女の調査に赴く“俺”物語『メルキオールの惨劇』(2000年)といった作品を生み出してきた平山夢明だが、時代の先を行き過ぎていたのか、同氏が世に知れ渡ったのは、2006年に刊行された『独白するユニバーサル横メルカトル』という短編集である。

 同作は「日本推理作家協会賞」を受賞した、タクシー運転手に仕える地図が丁寧な口調で独白する表題作「独白するユニバーサル横メルカトル」をはじめ、強烈な天才怪物“オメガ”の“オムレツ”を掃除する「Ωの聖餐」など、ホラー小説史に燦然と輝く短編集として高く評価され、2007年度版「このミステリーがすごい!」第1位を獲得。刊行から10年近く経ってなお、「後味の悪さ、不条理なバイオレンスなど、平山ワールドが色濃い一冊」「後味悪いけど、それが何よりの魅力」など、口を揃えて“後味の悪さ”が支持される怪作だ。その一方で、「これミステリーなの?」「謎解きとかトリックとかないんだけど」と、ミステリー好きを困惑させる一面も併せ持つ問題作でもある。

 そんな同作に収められたのが「無垢の祈り」。たび重なる義父の虐待で頭はボコボコ、学校では“おばけ”といじめられ、母親は新興宗教にはまり、“カルマ”だの“償い”だの理解に苦しむ言葉を述べ、どこにも居場所がない少女・ふみが、果てには殺人鬼に”救いを求める”という、どこまでも“救いのない”物語である。

 映画化に挑んだのは、映画「心中エレジー」や「幻獣マメシバ」で知られる監督・亀井亨(かめい とおる)。そして遂に、7月上旬に映画「無垢の祈り Innocent prayer」の予告編第1弾が、第2弾が同月下旬に公開され、「作品の暗い感じ出てるな」「殺人鬼は誰がやるんだ!?」「あれ? 夢明も出てるの? ファンサービスも行き届いてる!」とファンを興奮させた。


 しかし、予告編第1弾公開から2カ月が経過し、いまだ上映情報なし。心待ちにしているファンからも、「早く観たいのに…」「内容が内容だけに上映できないのかな」「果たして観れる日が来るのだろうか」といった、不安を感じさせる声が多数上がっている。確かに「無垢の祈り」は“幼児虐待(性的なものも含む)”“宗教”“連続殺人”などの要素がふんだんに詰まっているため、上映を心配してしまうのも頷ける。

 ただ7月1日(水)、監督・亀井が自身のTwitterで「明後日、初号試写。一年かかった。ここからがスタート。」と、上映までの険しい道のりを予感させるツイートをしている。また、『別冊映画秘宝 厭な映画』も「各国映画祭を回った後に日本公開される予定」と伝えており、時間はかかるものの、上映されることは間違いなさそうだ。

 試写を観た原作者・平山夢明が、「機関車に踏み潰されたような衝撃。上映直後、暫し言葉がなく、正直、死ぬかと思った。もう少し手加減しないと観て死ぬ人が出るなと思うた。原作者冥利に尽きる世界。監督ありがとう。それにしてもBBゴローの凶悪っぷりの凄さよ。正に人間凶器だな」と語る映画「無垢の祈り」。「観たい」というファンの“無垢な祈り”も必ずや届くはず。稲川淳二のモノマネで知られるBBゴローの怪演に期待を寄せつつ、続報を待ちたい。

⇒亀井亨公式Twitter
⇒平山夢明プロデュース「FKB-Project」公式Twitter

■『独白するユニバーサル横メルカトル
著:平山夢明
価格:600円(+税)
発売日:2009年1月8日
出版社:光文社

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2006年11月号 『独白するユニバーサル横メルカトル 平山夢明短編集』



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