農家だから知っている! 素朴だけど美味しい野菜の食べ方【作ってみた】

食・料理

公開日:2016/1/24


『一生食べたい野菜のおかず Farmer’s KEIKO農家の台所』(Farmer’s KEIKO/主婦と生活社)

 栄養のことを考えると、やはり欠かすことのできない「野菜」。だからこそ、「美味しく食べられる」というのはとても大切なこと。しかし、野菜の特性を生かした調理をする、というのは意外と難しい。食材同士の相性は考えても、何となく炒めたり、スープにしたり、煮てみたり……野菜は“数ある食材の一部”になってしまいがちだ。

 そんな人に、ぜひとも使ってほしいレシピ本がある。『一生食べたい野菜のおかず Farmer’s KEIKO農家の台所』(Farmer’s KEIKO/主婦と生活社)だ。本書は、農家の人ならではのレシピで根強い人気を誇っている、「Farmer’s KEIKO農家の台所」シリーズの最新刊。派手さこそないが、この本には「その手があったか!」と思わされる素朴で贅沢な野菜の食べ方がたくさん詰まっている。

 野菜を愛しているからこそ生み出された、野菜が主役の料理たち。タイトルにもあるように、“一生食べたい”、一生使えるレシピとなれば、これは試すしかない。そこで、本書の中からいくつか、実際に作ってみた。

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「白菜の白いナムル」(左)と「白菜の葉先の煮びたし」(右)(P.8~P.9)


 白菜の葉の白い部分と葉先を分けて調理したこの2品。ナムルは、繊維に沿って細切りにした白菜の白い部分を茹でて湯を切り、にんにく、白いりごま、酢、塩、ごま油で和えたもの。煮びたしは、鍋に水、みりん、醤油、和風顆粒だしの素を入れて煮立たせ、油揚げと白菜の葉先を入れてしんなりするまで煮れば完成。

 どちらも数分で完成する非常に簡単なレシピだが、部位の特性を生かした調理法で素材の持ち味が生かされている。1つの野菜でありながら、まるで別の野菜であるかのよう。ちょっと得した気分だ。

「揚げ大根」(P.10~P11)


 2つめは、大根を切って揚げるだけ、というシンプルな素揚げ。味付けは醤油と鰹節のみだが、大根の旨みを強く感じられるので、これで十分。

 コツは、冷たい油に入れて、中火でじっくり揚げることだそうだ。衣も何もつけていないが、味が凝縮されていて、繰り返し作りたい美味しさ。

「里いもの素揚げ」(P.76)


 3つめは、素揚げ第2弾。こちらは里いもの素揚げ。フライドポテトといえばジャガイモを思い浮かべる人が多いだろう。筆者も里いもを素揚げするという発想はなかった。しかし実際に食べてみると、表面はカリッと、中はホクホクした食感で箸が進み、あっという間に完食してしまった。味付けは大根同様、醤油と鰹節を使用しているが、単純に塩で食べても美味しかった。

「鶏肉とズッキーニのコロコロ丼」(P.92)


 最後は、ごはんの上に乗せて食べる“簡単のっけご飯”レシピ。ズッキーニというと、洋野菜なので洋風にしてしまいがちだが、実は和風の味付けとも相性抜群! 食べやすく切った鶏もも肉とズッキーニを炒め、醤油、砂糖、みりん、酒、水を入れて汁気が少なくなるまで煮れば完成。甘辛い和食の王道の味付けが、ズッキーニとこんなに合うとは思わなかった。

 実際に食べてみて、本当にどれも野菜の特性を生かした、この野菜のためにあるような調理法だと感じた。本書には、他にも「ブロッコリーディップ」や「ぶりと長いもの照り焼き」「菜の花と塩昆布の混ぜご飯」など、試してみたいレシピが満載。どれも簡単にできる、初心者でも作れるものばかりだ。野菜が好きな人も、あまり好きではない人も、ぜひ本書のレシピで、ワンランク上の野菜料理を味わってみてほしい。

文=月乃雫