笠原流「和食の極意」で和食上手に♪ 大人気料理人・笠原将弘の毎日食べたいレシピ【作ってみた】

食・料理

公開日:2016/10/7

『僕が本当に好きな和食』(笠原将弘/主婦の友社)

 忙しい毎日だと思いますが、今週何回和食を作りましたか? 和食は今ではユネスコ無形文化遺産にも登録され、世界でも注目される料理になりましたが、一方で本家の日本では和食離れが進んでいると言われていて、実際冒頭のような質問をされても、最近全然和食を作っていないという人も多いと思います。

 そんな状況の風向きを変えるべく、人気和食料理店「賛否両論」の店主である笠原将弘氏が、過去に出版した7冊のレシピ本から美味しかった和食ばかりを厳選してまとめた『僕が本当に好きな和食』(笠原将弘/主婦の友社)を発売しました。ここには、忙しくて時間がなくてもおいしく食べたい人に向けて考えられた和食が250品も紹介されていて、これさえあればいつでも気軽に和食が作れるようになっています。そこで、今回はこの中からぜひ作って自分のものにして欲しい和食3品を紹介します。

1、揚げたても冷めても美味しい「鶏から揚げごまねぎポン酢」(P.12)


 1品目は、笠原家に伝わるから揚げレシピです。ボウルに鶏もも肉を入れ、しょうゆ、みりん、粗びき黒こしょうをもみ込んで10分ほどおきます。さらに溶き卵、小麦粉も加えてもみ込み、片栗粉を全体にまぶします。これを170度の揚げ油で3分揚げ、取り出して3分休ませたら、少し温度を上げた揚げ油でさらに2分揚げます。これに万能ねぎ、いり白ごま、しょうゆ、酢、だし、みりんを混ぜ合わせたたれをかければ完成です。

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 実家が焼き鳥屋だったということもあり、お父さんがよく作ってくれたそうで、二度揚げすることで表面がカリっとした歯ごたえになっているのがポイント。また、作る際には調味料や粉を1つのボウルですべてもみ込んでしまうので、洗い物も少なくなり、忙しい時には有難い作り方です。アツアツの揚げたてももちろん美味しいのですが、酸味が効いたたれがしっかりしみ込んだ冷めたから揚げもこれはこれで美味しく、食べるとなぜか心落ち着く一品でした。

2、ピリっとした辛みがクセになる「高野どうふのピリ辛煮」(P.53)


 2品目は、和食の定番食材である「高野どうふ」を使ったレシピ。たっぷりの湯でしっかり戻した高野どうふとあらみじん切りにしたねぎを、ごま油を熱したフライパンで炒めます。ここに、だし、しょうゆ、砂糖、豆板醤を加え、煮汁がなくなるまで煮れば完成です。

 高野どうふといえば、煮て使うことがもっともポピュラーですよね。ここでも煮るのは煮るんですが、煮汁に豆板醤を入れることでピリリとした辛さが加わり、いつものようなほっこりした味ではなく、ちょっとスパイシーな高野どうふになりました。でも、これが意外とハマり、普段はそこまで量を食べられない高野どうふも、この味付けだとあっという間に2枚分くらいはペロっと食べられました。一緒に煮たねぎのシャキシャキっとした食感も良いアクセントになっていましたよ。新しいスタイルの和食で、お弁当やお酒のおつまみにもピッタリです。

3、たくさんのうまみが集結した「王道!寄せなべ」(P.131)


 最後は、これから寒くなってくる季節に嬉しい鍋レシピです。鶏肉、たいは霜降りにして水けをふきます。えびは殻つきのまま背わたをとり、ほたてはさっと水洗いして水けをふきます。鍋にしょうゆだしを入れて火にかけ、煮立ったら先ほどの鶏肉、たい、えび、ほたてと、白菜、水菜、えのきだけ、ねぎ、木綿豆腐を加えて煮れば完成です。これをポン酢しょうゆやもみじおろしで食べます。

 肉、魚介、野菜と、どれをとっても主役級ないろいろな具を贅沢に入れることで、たくさんのうまみが出てきて、それで煮込んだ具材が美味しくないわけがありません。最後のスープまで飲み干したくなるほど美味しく、このままもう1回同じ鍋を食べたくなったくらいです。


 そこで、せっかくなのでこれもレシピ本に紹介されていた、このスープを使った〆の卵ぞうすいも作ってみました。このうまみたっぷりのスープをたくさん吸ったごはんとふわふわ卵が体の中に入っていっただけで、もう心から幸せな気分に。この鍋を知ってしまうと、もう市販の鍋の素では満足できないかもしれません。

 ちなみに、笠原流和食の極意として、(1)食材の味を生かして作る(2)白いごはんに合う味つけに(3)だしは多めにとっておく(4)下ごしらえは必要なもののみ!(5)段取りを考えてから調理することが、美味しい和食作りに繋がるそうです。

 

改めて和食の美味しさを実感
 特に料理が苦手な人にとって、繊細な味付けが大切になってくる和食は難しいジャンルの料理な上、手間と時間がかかると思われがちかもしれません。それに比べると洋食や中華などは、さほど味付けに困ることもなく手軽に作れるものが多いので、ついつい日常生活でもそちらを作りがちです。でも、改めて和食を知ると、意外とそこまで手が込んだことは必要とせず、簡単に作れるものが多いことに気付かされました。そして、やはり自分が小さい頃から食べて慣れ親しんできた和食は一番落ち着く味のはずです。せっかく日本で生まれ育ったので、和食の良さを再認識してみませんか?

文=JUNKO