「こんな書名じゃ注文できない」と書店員や一般の読者に困惑が広がる、ノンフィクション作品のとんでもタイトルとは…?

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/13

 2014年の同人誌即売会「文学フリマ」で異例の大行列を生み、即完売した伝説の名作『夫のちんぽが入らない』が2017年1月に書籍として発売されることが決定した。とんでもないタイトルの新刊が出版されたことに驚きの声が上がるとともに、「文学フリマで手に入らなかった伝説の作品じゃないか!(涙)」と手に入らなかった人達から狂喜の声が上がった。

 著者はブログ「塩で揉む」が人気の「こだま」。“救いようのない実話”を描きながらも、客観的かつユーモアあふれる筆致が多くのファンを生み出している。特に2014年の文学フリマで販売した『なし水』に収録されていた『夫のちんぽが入らない』で一挙に注目を浴びることに。

 同じ大学に通う自由奔放な青年と交際を始めた18歳の「私」(こだま)。初めて体を重ねようとしたある夜、事件は起きる。彼の性器が全く入らなかったのだ。その後も2人は“入らない”まま精神的な結びつきを強くしていき結婚。しかし「いつか入る」という願いは叶わぬまま、「私」はさらなる悲劇の渦に飲み込まれていく…。

advertisement

 文学フリマで手に入れた人からは「切実な状況なのにユーモアたっぷりに描かれていてすごく興味深かった」「一大事との向き合い方に感心。夫婦って色んな形があっていいんだ…」「笑ってられない状況をこんな風に面白く描けるなんて!」と絶賛の声が。また、鳥取県の女性書店員は「最後のページに行き着いたとき、日々軽々しく『希望』を口にする自分を恥じて涙が出ました」と語り、紀伊國屋書店の女性書店員は「“普通”の物差しから外れて苦しんでいる人、疎外感を感じている人に『この本読んでみなよ』と配り歩きたい」とコメントを寄せている。

 一方で書店員や一般の読者が「こんな書名じゃ注文できない」と困惑していることがSNSで話題になっている同作。しかし夫婦としての一大事に向き合い、独自の関係を築いていく2人からは多くの事が学べるため、ぜひ手に入れ、人間関係に新しい視点を取り入れてみてはいかがだろうか。なお、扶桑社では現在同書のゲラを読んでくれる書店員を募集している。
⇒『夫のちんぽが入らない』公式Twitter
⇒ こだま 公式Twitetr