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何人目から本気で付き合えばいい? セックスは? いつ身を固めればいい? 恋愛に潜むパターンを、数学が解明!

『恋愛を数学する』(ハンナ・フライ:著、森本元太郎:訳/朝日出版社)

 数学なんて人生の役にたたないのになんで勉強するの? そう学生時代に思った数学嫌いの人は多いのでは。専門職を除けば、日常生活で数学を使う場面はそう多くはない。けれども、もし恋愛に数学をあてはめられるとしたら、そこから何が見えるのだろう?

 『恋愛を数学する』(ハンナ・フライ:著、森本元太郎:訳/朝日出版社)は、出会いからお付き合い、結婚にいたるまでの恋愛のプロセスについて、数学の理論で解析してみたものだ。

 著者のハンナ曰く「数学を突き詰めると、それはパターンの研究なのです。(中略)ありがたいことに、恋愛もまた人生の他の多くの出来事と同じく、パターンに満ち溢れています」。ゆえに、数学から、恋愛で役立つ洞察がたくさん得られる、というのである。

第1章 恋人ができるチャンスについて

 数学者の独身男バッカスが2010年に計算した「自分のガールフレンドになってくれるかもしれない人数」の出し方はこうだ。まず近くに住んでいる女性の数を出し(ロンドン在住400万人)→年齢をしぼり(20%)→独身者にしぼり(50%)→大卒にしぼり(26%)→魅力的な人にしぼり(5%)→自分を魅力的だと思ってくれる人にしぼり(5%)→自分とウマが合いそうな人にしぼる(10%)。結果、彼がお付き合いしたいと思える女性は、全世界でたったの26人。

 とても少ない。が、よく見てほしい。バッカスは魅力的な人は5%しかいないと想定している。20人に1人しか気に入らない計算だ。きびしい。でも同じことを私たちもしてはいないか? 地球上に男が35億いようと、条件が狭すぎては意味がない。ほんの少しだけ恋愛対象の枠を広げれば、恋人ができるチャンスはずいぶんと増やせるのだ。

第6章 セックスの数学

 一度してしまったら、いくら酔っていようが記憶になかろうが、なかったことにできないのがセックスだ。ハンナはそれを「ネットワークにつながる」と表現する。新しい繋がりが1回生じるたびに、両者のセックス相手の総人数が増える。これほどはっきりした定義がつくれることから、性的関係のネットワークは、科学者・数学者にとって興味深いケーススタディの対象となっている。そして、話は「性感染症」へとつながっていく。

 1996年にスウェーデンで行われた「何人とセックスしたことがあるか?」という調査から、経験人数が比較的少数の集団の中に極端に経験人数の多い「ハブ」が存在する、という傾向が明らかになった。

 例えば、ある感染症対策としてワクチン接種をするが全員に施せない場合、「ハブ」をターゲットにするのが効率的だ。ハブを見つけ出すには、ランダムに誰かを選び、関係を持った相手を聞く、というステップを入れる。ハブは多数の人と関係があるので多く名前が挙がる。やみくもにワクチン接種を行うより、ハブにあたる確率はグンと高くなる、というわけだ。

 ここから得られる私たちの教訓は何だろう。ベッドインした相手が1人増えたときには、この「ネットワーク」のことを考えてみて、とハンナはいっている。「数学者はセックスが上手になるためのお手伝いはできませんが、あなたもかかるかもしれない性感染症を減らそうと努力しているのです。これだってセクシーじゃありませんか?」と。

第7章 いつ身を固めればいい?

 どうしたら「運命の人」と出会えるか? これには「最適停止論」と呼ばれる数学の一分野から最適な戦略が得られる。生涯で付き合う人数のうち、はじめの37%までは遊びで付き合い、そのあとに現れた中で、それまで出会った誰よりも優れている最初の人物を選ぶ、というものだ。10人の相手と付き合うことが決まっているなら、はじめの4人をふることにすれば、運命の人を見つける確率は最大になる。20人と付き合うのであれば、はじめの8人はふるべきだ。なるほど、しかし、何人と付き合えるかなんてわかるわけがない。

 ご心配なく、この手法は、お付き合いできる「期間」にも適用できる。たとえば、初めて付き合うのが15歳で、40歳までには身を固めるのが理想だとすれば、24歳までは全員ふるべきである。

 多少乱暴なようだが、つまるところ、数学とはこういうものだ。「現実世界を抽象化することで、隠れたパターンや関係性をあらわにするのに役立ちます。抽象化なくしては、『感情』などといった厄介なものに覆い隠されて、それらは見えてこないのです」。

 本書は、恋愛のルールや法則を数学で証明する。ややこしい数式や理論はほぼでてこないが、おそろしく説得力がある。恋愛指南本に書かれているようなことでも、数学的に証明されると反論する気は失せ、大きな秘密を明かされたような気になる。もちろん読み物としても面白い。特にハンナの、数学的に物事を割り切るようでいて、感情のフォローを忘れない女性らしい細やかさが本書に奥行きを持たせている。心に振り回される恋愛だからこそ、数学と意外に相性がよいのかもしれない。

文=高橋輝実



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