「文系男子は40歳で鬱になる」は本当か!?

暮らし

2012/7/30

 「最近、うつっぽいんだよね」。そんな会話が日常的に交わされるほど、現代はまさに鬱病ブーム。さらには“新型うつ”や“擬態うつ”など、従来の鬱病カテゴリーから外れたものも蔓延しているらしい。そんななか、「文系男子は40歳で鬱病になるって本当?」という、気になる帯文が躍る本が発売された。

 『サブカル・スーパースター鬱伝』(吉田 豪/徳間書店)は、テレビやラジオでも人気のプロインタビュアー・吉田豪が、サブカル界を代表する人々の“鬱経験”を聞き出したもの。リリー・フランキーに大槻ケンヂ、みうらじゅん、松尾スズキ、川勝正幸、杉作J太郎、菊地成孔、ECD、枡野浩一、唐沢俊一と、錚々たるサブカルスターが勢ぞろいしている。

 そもそも、サブカル好きには“屈折した人”というイメージが強いが、しかしなぜ40歳で鬱になるのか? それに対しリリー・フランキーは、
「本格的に惑い、本格的に憤り、本格的に恨み始めるのが四〇代」
と定義。彼自身は、仕事上で若手とはいえなくなり、かつベテランの入口に突入したあたりで「終点から逆算したときに、これからつまんなくなりそうな予感」がし、鬱がはじまったという。とくに『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜(扶桑社(単行本)、新潮社(文庫))がベストセラーとなったころがもっとも鬱々としていたらしい。

 一方、最強鬱小説『クワイエットルームにようこそ』(文藝春秋)の著者でもある松尾スズキは、体力の問題を挙げる。
「三五~三六歳のときに、体力もまだ残ってて、しかも二〇代ぐらいから培ってきた技術も実ってきて、それがいい感じにバッティングする時期があるんですよ。で、四〇歳ぐらいになると体力の弱さがちょっと際立ってくるんですよ」

 しんどかったときは、「裸になって風呂入ったらお湯が入っていないとかあって」「もう何度空っぽのバスタブの中で泣いたことか」と告白。松尾の作風さながらのエピソードに笑ってしまいそうになるが、想像するとかなり深刻な話だ。

 ちなみに、松尾の場合は『ウルルン滞在記』のナレーションの仕事で「もっと元気よく!」と言われてやっているうちに、だんだん元気になったそう。杉作J太郎は、『ガンダムSEED』のキャラ物真似をテープに吹き込んだり、エヴァンゲリオンのパチンコ台で綾波レイから「あなたは死なないわ」と語りかけられて励まされたという。どこまでもサブカル的である。

 このほか、登場するサブカルスターたちは揃って過酷な鬱経験を語っているが、なかでも印象的なのが、前出したリリー・フランキーの、この言葉だ。
「四〇歳になってもそれぐらいの感受性は持ってようよって言いたいよね。だってそれは大人の論理で生きていくか、感受性で生きてくかの問題なんだもん。これは大人の思春期なんだから」

 自意識過剰で、かつナイーブ。サブカル男にとって鬱の発症は、文化系の宿命といえるかもしれない。