大人の女性だからこそ“逃げ場”はあっていいと思います
耳の奥でやさしくリフレインするような、心地よい響きのタイトルは、主人公が親友と2人で営む小さな店の名前。鎌倉駅から由比ヶ浜に向かって進む途中の脇道にある、手づくりアクセサリーと雑貨の店《トオチカ》。ロシアの防御用陣地〈トーチカ〉をもじったそこは、恋愛はもうこりごりな32歳・里葎子がやっと築いた心の避難場所。ゆったり穏やかな、おひとりさま鎌倉暮らしを楽しむための拠点のはず、だったのだが──。
崎谷はるひ さきや・はるひ●熊本県出身。専門学校卒業後、ジュエリー会社に在籍。1998年、『楽園の雫』でデビュー。ボーイズラブ業界屈指のヒットメーカーとして「ブルーサウンド」シリーズ、「慈英×臣」シリーズ、「白鷺」シリーズなど、100冊を超える著作を持つ。近著に『吐息はやさしく支配する』など。鎌倉市在住。 ヘアメイク=木下きのこ
「恋愛ってドラマとしては小さなことなのに、心のアップダウンを激しく描くことができる。私にとって、人を書くための一番面白い題材」と語る、ラブストーリーテラーが主人公をそのままにしておくわけがない! 「ブルーサウンド」シリーズをはじめ…