三石琴乃さんが選んだ1冊は?「自分の中の虚しさを埋めてくれた一冊。今も読み返すたびに印象が変わります」
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年5月号からの転載になります。
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、三石琴乃さん。 (取材・文=倉田モトキ)
「大人になってからも、ときどき自分の中で絵本ブームが沸き起こるんです。この本との出会いも20代後半の頃でした。今もたまに読み返しますが、年齢を重ねるごとに印象が変わっていくのも面白いですね」 三石さんがおすすめするのは、40年以上に渡って世界中から愛され続けている『ぼくを探しに』。丸い顔に目がついただけのシンプルな表情の主人公が、《何かが足りない それでぼくは楽しくない》と、自分に欠けているかけらを探す旅に出る物語だ。 「本を手にした当時は仕事もプライベートも充実していました。でも、どこか自分に足りないものや虚しさを感じることがあって。それを埋めるために読んだ記憶があります」 主人公はころがりながらゆっくりと旅を続ける。雨や風の自然を感じ、花を愛で、虫たちと会話を重ね、ときに楽しく歌を口ずさみ…