なぜ少女たちは「陰陽師」に萌えるのか?
コバルト文庫やX文庫ホワイトハート、角川ビーンズ文庫などの少女向けラノベレーベルでは、和風ファンタジーが一大ジャンルとなっている。なかでも、大きな人気を集めているのが、陰陽師だ。『少年陰陽師』(結城光流:著、あさぎ 桜:イラスト/角川書店)や『ひみつの陰陽師』(藍川竜樹:著、みずのもと:イラスト/集英社) 、『闇の皇太子』(金沢有倖:著、伊藤明十:イラスト/エンターブレイン)や『絶対霊感』(七穂美也子:著、ユカ:イラスト/集英社)、『鬼舞』(瀬川 貴次:著、星野 和夏子:イラスト/集英社)といった陰陽師を主人公にした作品が、少女向けラノベでは多数出版されている。少年向けではメインとして扱われることの少ない陰陽師だが、少女にこれほどまでに支持されるのは一体なぜだろうか?
まず、陰陽師と聞いて誰もが真っ先に思い浮かべるのは安倍晴明だろう。『少年陰陽師』の主人公・安倍昌浩はその晴明の孫という設定なのだが、そもそも晴明の母親は白い狐であるといった言い伝えも残されるなど、謎に包まれたミステリアスな男だ。やはり女性はミステリアスな男性に惹かれる。本性を暴…