村川絵梨「演出家の方が与えてくださった明確なビジョンに向かって役を作っていくのは、目標が見えてる分、やりがいがあります」
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、5月に舞台『たとえば野に咲く花のように』に出演する村川絵梨さん。稽古真っ最中の彼女が語る、舞台の面白さとは?
「『観客をタイムスリップさせるのが役者の仕事だから』。そうおっしゃったのは、本作の演出家・鈴木裕美さん。稽古に入った瞬間、確かにセットや音楽から昔の場末のダンスホールの空気が立ち上がってきたんです。その空気の中に観てくださる方をどれだけ連れていけるかは、私たち役者の力量にかかっていると思います」
舞台『たとえば野に咲く花のように』では、朝鮮戦争さなかの九州のさびれたダンスホールを舞台に、この時代の4人の男女の恋愛模様が描かれる。この作品で村川さんが演じるのはダンスホール一の美女に婚約者を奪われる女性・あかね。
「あかねは、一見とても健全で健康的で由緒正しいお嬢様のような人。そんな女性がどんどん取り乱して崩壊していく姿をちゃんと見せたいねと、裕美さんと話し合いました。 裕美さんとご一緒するのは今回が初めてなん…