福本莉子さんが選んだ1冊は、読むだけで心穏やかになる『日日是好日』
毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、福本莉子さん。 (取材・文=河村道子 写真=諸井純二)
花を眺め、掛け軸と向き合い、道具を愛でて。お茶の稽古に通うようになってから、移ろいゆく日々のなかに小さな楽しみを見つけることが増えてきたと語る福本さん。 「家では母がよくお茶を点てていました。日常的に触れながら関心を高めていた茶道。お稽古に通いたいと思いながらも、なかなか実現できずにいたのですが、そんな折、出会ったこの本が背中を押してくれました」 大学生の頃、「お茶」と出会った著者が、がんじがらめの決まり事と長い時間をかけて向き合うなかで見つけた“自由”と五感で季節を味わう歓び――。その過程のなかに、みずからを置いてみたくなったのだという。 「文章を読んでいるだけで心が落ち着くんです。本を通じ、“お茶”の空間に入り込んでいくような感覚が現れる。著者の気づき、そこに記された言葉も心に染み入ってきました」 “人間はどんな日だって楽しむことができる。そし…