その叱り方、本当に子どもに届いてる? 幼児教育のプロが教える褒め方・叱り方の極意

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公開日:2022/10/19

モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育を知り尽くした オックスフォード児童発達学博士が語る 自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方 3歳 〜 12歳 の子ども対象
モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育を知り尽くした オックスフォード児童発達学博士が語る 自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方 3歳 〜 12歳 の子ども対象』(島村華子/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 子育てをする中で「どんなに叱っても言うことをきかない」という悩みを持つ人は多いのではないでしょうか? 例えば我が家も兄弟げんかの際、先に手を出した方を叱って「どんな理由があっても人を殴ったり叩いたりしちゃいけないよ。ちゃんと口で伝えないと」と落ち着いた口調で説明。しかし明日には、というかなんなら1時間後にはまた同じことが繰り返される始末で私も次第にイライラし、最後には雷を落として自己嫌悪に陥ってしまいます。「なぜ私の言葉は子どもに届かないのか?」そう悩んでいたときに気になったのが『モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育を知り尽くした オックスフォード児童発達学博士が語る 自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方 3歳 〜 12歳 の子ども対象』(島村華子/ディスカヴァー・トゥエンティワン)。本書の著者・島村華子さんは大学卒業後、カナダ・バンクーバーに渡りモンテッソーリ国際協会(AMI)の教員資格免許を取得。その後同国のモンテッソーリ幼稚園に教員として務めた経験を持ちます。そんな島村さんが、子どもを叱るとき、褒めるときにどんなことに気を付ければいいかを紹介する一冊です。

 

本書ではまずほめ方のポイントとして

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1、成果よりもプロセスをほめる
2、具体的にほめる
3、質問する

の3点を挙げます。適当に「すごいね!」と言う、性格や能力、外見などについて褒めるのはNG。そういった褒め方をしてしまうと、褒められること自体を優先して自分が楽しいと思っていたことに意義を感じなくなったり、チャレンジ精神やモチベーションの低下につながったりしてしまうそうです。子どもが求めているのは評価ではなく、なにかを達成したり発見したりしたときに、それを大好きな両親と共有すること。なるべく具体的にそこに至った努力や経過に言及し、こちらから質問することで、子どもの自己肯定感が育まれていくのだそうです。

そして叱り方については
1、「ダメ!」「違う!」をできるだけ使わない
子どもは否定の言葉を聞くと、脳が脅威を感じて戦闘モードに。まず初めに子どもがなにをしたかったのか、なにを言いたかったのかを理解してから声かけをするのがベスト。
2、結果でなく努力やプロセスに目を向ける
結果に至るまでの努力ややり方に対し、ネガティブな評価なしに具体的にフィードバックを与える
3、好ましくない行動の理由を説明する
自分がとった行動が、子ども自身や他者にいかに影響を与えるかというモラルに焦点を置きながら具体的に説明する
4、親の気持ちを正直に伝える
相手を批判せず、自分がどう感じているか、またその理由はなんであるかを伝えながらコミュニケーションをとる

という4点を紹介。子育てにおいて叱ることは褒めることよりも難しい行いであること。怒鳴ったり、物を取り上げたり、無視したりといった罰を与えるような叱り方は、反省を促すことにつながらないばかりか、子どもの中で力を使った問題解決方法が正当化されてしまったりと、多くのデメリットがあることなどがあるそうです。親のほうが一度落ち着いて、子どもに接することが重要です。

 本書ではさらに褒め方と叱り方の具体的なOK・NG例や、子どもの話を聞くときに注意すべきこと、誰しも一度は考えたことのあるような身近なQ&Aなども紹介。

 親だって人。このすべてをいついかなる時も実行するのは難しいことです。しかしこれらを心に留めておくだけでも、子どもとのコミュニケーションが変わってくるなと感じました。

文=原智香

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