ナルシストにオタクに……難ありイケメンな兄たちに囲まれて育った女の子の、ドタバタラブコメ！
マンガ 公開日：2022/11/4
イケメンに囲まれた生活。これだけ聞くと、いわゆる逆ハーレムのような状況をイメージして「羨ましい！」「私もそんな生活がしたい！」と考える女子は多いだろう。しかしそれは、そのイケメンが乙女ゲームに出てくるような理想的な性格であると想像しがちだから――なのかもしれない。『木下兄妹は止まらない！』（チキン/白泉社）は、そんなイケメンのイメージをぶち壊す、トラブルメーカーな兄たちに囲まれてしまった女の子の物語。
本作は『花とゆめ』（白泉社）で連載されているコミック作品。後半には、「ザ花とゆめアナザーワールド」に掲載された読み切り作品『星くずロケット』も掲載されている。
この作品の主人公は、難ありイケメンな兄3人との生活を余儀なくされている、高校1年生の女の子・木下まよ。交通事故で両親を亡くして以降、ナルシスト高校生な三男・えま、モデル兼アニオタの次男・まひろ、アホ会社員な長男・さくまに振り回される生活を送っている。
難ありイケメンな兄たちの中で唯一常識的な感性を持ち生活しているまよは、兄たちの素行のひどさから、「顔の良いやつらは人生をなめている」とイケメン嫌いに。学校でも、そうした人種とは関わらないようにしていた。だが、文化祭の係決めの際、クラスのイケメン男子・江尾くんと同じ買い出し係になってしまう。
よりによって――！ と頭を抱えるまよだが、江尾くんは、まよの頭の中のイケメン像とはまったく異なる人種だった。積極的に人を助け、レディファーストで、気さくで思いやりもある、まさに理想を絵に描いたような男子だったのだ。そんな江尾くんの優しさに触れ、まよも少しずつ心を開いていく。
江尾くんとまよの距離が縮まったことで、江尾くんとまよの兄たちも交わる機会が増えていく。その中で、今まで見えていなかった兄なりの愛や思いやりを知り、まよはイケメンへの偏見を少しずつ修正。そして兄たちも、同じイケメンでありながら他人への気遣いを忘れない江尾くんを見て、自身の在り方、振る舞いに違和感を持ち始める。
また、第2話終盤では、江尾くんが抱えている不安や悩みも明かされて――。
イケメン嫌いだったまよは、結果として江尾くんというイケメンに救われ、惹かれていく。そして1巻ラストでは2人の間に進展も！ とはいえ、まだまだ兄たちの暴走が止まるわけではなく、まよが平穏な生活を手に入れる道のりは長い。しかしそれでも、まよ、兄たち、江尾くんが出会ったことで、少しずつ何かが変わっていく。2巻以降では、少しずつ変化を見せ始めている兄たちの更なる変化が期待できそう！ これからまよと江尾くんの関係は、そして3人の兄たちの素行はどうなっていくのか……。引き続き『木下兄妹は止まらない！』を見守りたい。
文＝月乃雫
