家康はピンチになるとすぐに切腹!? 信長の知られざる人間性とは? 戦国武将たちの素顔を「少年漫画」で楽しく学ぶ

マンガ

更新日:2023/7/7

少年マンガでわかる戦国時代
少年マンガでわかる戦国時代』(長谷川ヨシテル〈れきしクン〉:著、大久保ヤマト、すずき孔、並木洋美、堀部健和:マンガ/飛鳥新社)

 徳川家康を演じる松本潤さん主演のNHK大河ドラマ『どうする家康』や、木村拓哉さんが織田信長を演じる映画『レジェンド&バタフライ』など、2023年も戦国時代をテーマにした作品が熱い。

 どちらの作品にも、かつて教科書で学んだことのある歴史の人物たちが相次いで登場するが、その背景を改めて勉強すれば、描かれる世界への理解も深まるだろう。もう一度、戦国時代の歴史を勉強し直したい。そう思う人たちに読んでもらいたいのが、漫画で歴史を学べる『少年マンガでわかる戦国時代』(長谷川ヨシテル〈れきしクン〉:著、大久保ヤマト、すずき孔、並木洋美、堀部健和:マンガ/飛鳥新社)だ。「勉強は苦手…」と思う人にも分かりやすく、誰もが楽しく勉強できる1冊になっている。

天下統一を果たす裏で「切腹癖」を持っていた徳川家康

 NHK大河ドラマで描かれる家康が主人公の漫画は「家康様は切腹したい」(並木洋美:マンガ)と、衝撃的なタイトルが目を引く。

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少年マンガでわかる戦国時代

 19歳の当時、松平元康(のちの徳川家康)は今川義元に仕えていた。しかし、家臣として「桶狭間の戦い」にのぞんでいる中で「今川義元様が討ち死にした」と衝撃的な事実を知る。絶望を味わい「おわった…」「もうダメだ…」とふらつく家康は、のちに「よし! 切腹しよう」と決意するも、周囲から「おやめ下されー!!」と止められたという。

 その後、家康となり天下統一を果たしたのは、誰もが知るところだ。しかし、その裏では「切腹癖」があったとは意外である。ピンチになるたびに「切腹しよう」と決意し、周囲を困らせていた家康。彼もまた、プレッシャーに押しつぶされやすいひとりの人間だったとよく分かるエピソードだ。

非情で強引な印象の織田信長がさりげなく見せた優しさ

 鳴かぬなら殺してしまえホトトギス…。その一句にも表される強引さが、今なお語り継がれる信長の漫画は「THE LEGEND OF NOBUNAGA Episode27 OKEHAZAMA」(大久保ヤマト:マンガ)のタイトルで描かれる。

少年マンガでわかる戦国時代

 父・信秀の死による家督(一族のトップ)争いでは「納得しない者は全員斬る!!」と啖呵を切り、のちに、兄弟との戦いを経て織田家を率いることになった信長。非情な印象もあるが、大軍を率いた今川義元の軍勢との戦いへのぞむ前夜、妻・帰蝶との会話で、眠るお小姓衆(身分の高い人物の側近くに仕えた少年)に「ギリギリまで寝かせておきたいんだ」と優しさを見せる場面では、信長の人間味が垣間見える。

少年マンガでわかる戦国時代

 やがて「桶狭間の戦い」で、今川義元を討ち取った信長の軍勢。最後、家臣たちの前で、自身の軍勢に勝利をもたらしたのは「オレを信じてここで戦った者たち…そして砦を守って散った者たちだ…!!」と強く宣言し、新たな戦いを見据える信長の表情には、思わず惚れてしまうほどだ。

 本書ではこの他にも「武田信玄/上杉謙信」や「石田三成」「足利義輝」「小田氏治」のエピソードを漫画で紹介。さらに、歴史の流れが分かる詳細な年表、戦国武将が身につけていた「ちょっと変わった兜たち」の特集などもある。

少年マンガでわかる戦国時代

 彼らの生き様、人間性が伝わる本書を読めば、名だたる戦国武将たちの新たな魅力にも気がつけるはず。歴史好きな人はもちろん、これから学びたいと考える人にも、ぜひともおすすめしたい。

文=カネコシュウヘイ

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