和田明日香の「地味ごはん」第2弾! シリーズ累計30万部突破、楽ありゃ苦もある毎日に寄り添うレシピ本【つくってみた】

暮らし

公開日:2023/3/29

楽ありゃ苦もある地味ごはん。
楽ありゃ苦もある地味ごはん。』(和田明日香/主婦の友社)

 毎日のようにキッチンに立っていれば、やる気が起きない日も当然ある。そんな時、和田明日香さんの『10年かかって地味ごはん。』(主婦の友社)というレシピ本を開くと心がちょっと軽くなる。

 この本は明日香さんが10年かけて育ててきた和田家の普段のおかずを惜しみなく公開し、「料理レシピ本大賞2022」の料理部門で入賞を果たした一冊。明日香さん自身も料理家・食育インストラクターとして働きながら育ち盛りの3人の子どもを育てるワーママで、友達に話しかけるようにレシピが綴られているから、読みながら共感し、励まされ、明日香さんが隣にいるような感覚でごはん作りを乗り切ることができるのだ。

 そんなレシピ本の待望の第2弾『楽ありゃ苦もある地味ごはん。』(和田明日香/主婦の友社)が、先日発売された。ページをめくると、ハンバーグやコロッケ、生姜焼き、照り焼き…と家庭料理の定番おかずを中心に、野菜を大量に使った副菜やお酒と一緒につまめる1品など、前作に載りきらなかったという、和田家の名もなきおかずたちがラインナップ。

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楽ありゃ苦もある地味ごはん。P10
『楽ありゃ苦もある地味ごはん。』p.10より

 定番おかずといっても、例えば煮込みハンバーグに味噌を入れるとか、前作同様今すぐ試してみたくなるような“明日香風”のユニークなポイントがちりばめられている。いくつか作ってみたのでご紹介しよう。

玉ねぎは薄切りとすりおろしのダブル使い! 「みんないい生姜焼き」(p.9)

 1品目は、第一章「明日香風の定番料理」の最初に登場する生姜焼き。生姜焼きのレシピは世の中にあふれているものの、なかなか“自分の味”にたどり着けなかったと明日香さんはいう。もっとおいしくするにはどうしたらいいだろうと繰り返し作り続け、ようやく自信を持って届けられるようになったのが、この一皿だ。

“明日香風”のポイントは下ごしらえからいきなり登場する。玉ねぎを、半分は繊維に沿って薄切りに、もう半分はすりおろして使うのだ。

楽ありゃ苦もある地味ごはん。

 すりおろした玉ねぎは砂糖・薄切りにしたしょうがとともに、豚しゃぶしゃぶ肉が入ったボウルに加えてもみもみ。「砂糖は下味というより、保湿効果と思って」と書いてあるので、肉が潤うようにと気持ちを込めてもみ込んだ。

 続いて米油をひいたフライパンで薄切りにした玉ねぎを炒める。ここでは焼き色をつけたいのであまり触りすぎないように。玉ねぎがところどころ茶色くなったら豚肉を炒め、色が変わったら醤油・酒・みりん・塩を加えて強火に。汁気がしっかりなじんでなくなってくるまで炒めたら、お肉たっぷりの生姜焼きの完成!

楽ありゃ苦もある地味ごはん。

 食べてみると、気持ちを込めてもみ込んだお肉がしっとりとやわらか~な食感! 味つけは甘すぎず、辛すぎず、玉ねぎの風味としょうがの辛みがちゃんと広がる旨みたっぷりの一皿に仕上がった。しょうがの辛みを抑えたい場合は、さらに細く切ればいいという。こんな風に子どもがいる家庭のことも考えた一言が添えられているのも明日香さんらしくて素敵だ。

生のピーマンがこんなにおいしいなんて!「ピーザン」(p.53)

楽ありゃ苦もある地味ごはん。

 続いては第3章の「今夜も主役は名もなきおかず」より、ピーマンをたっぷりのせたチーズのピザ。以前、明日香さんのインスタグラムで話題となった1品だ。

 作り方は簡単で、フライパンにピザ用チーズを敷き詰め、その上にピーマンと塩昆布をのせてチーズがこんがり焼ければできあがり。でも正直、お皿に移しながら「ピーマンに火が通ってないけど本当においしいのかな…」と思ってしまった。

 しかし、そんな疑念は一口食べた瞬間に吹っ飛んだ。ピーマンが生だからこそ、食感がシャキシャキして、みずみずしくて、いいアクセントになってくれていたのだ。気になる特有の苦みはチーズと塩昆布が完全に打ち消しており、ピーマン嫌いの息子が「これ、おいしい! また作って!」と言ったほど。ピーマンが苦手な子がいるご家庭は、だまされたと思ってぜひ一度作ってみてほしい。

暖かくなったら菜の花で…「春を待つタコセロリ」(p.65)

楽ありゃ苦もある地味ごはん。

 最後は第3章からもう1品、10分もかからずにできるスピード炒め「春を待つタコセロリ」。米油とにんにくのみじん切りを弱火で熱し、きつね色になったら火を強くしてタコとセロリを加え、塩をふって炒める。塩がなじんだら鍋肌から醤油を回し入れて、醤油と油を乳化させるようにフライパンをじゃんじゃかふって火を止め、黒こしょうをふり、お好みでレモンをしぼればできあがりだ。

 シンプルだが、タコとセロリの食感と旨みがマッチして「うんうん、これこれ!」と深くうなずいてしまうおいしさ。「たこは麺棒などでビシバシ叩くとやわらかくなるような気がする」というので実行してみたが、本当にそんな気がした。このまま食べるのはもちろん、オイル多めで炒めて茹でたパスタを加えても◎。タイトルに「春を待つ」とつけたのは、春に菜の花で作るこの炒め物がたまらないからだそうだ。

 今回の続編を手掛けるにあたり、明日香さんは「バージョンアップしなくていいのか?」と迷ったという。

でも気づいてしまった。作っている料理は、ずっと代わり映えしていないということに。そりゃあ、仕事では新しいレシピも考案していますが、晩ごはんは似たようなもんばっかり。(中略)結局、新しい要素は無理に入れないことに決めました。1作目と同じように、普段家族に作っているごはんを紹介するただの続編になりました。でも、これでしっくりきています。わたしはこの本を通じて、あなたの楽ありゃ苦もある毎日に寄り添いたい。それなら、代わり映えしない地味ごはんをたんたんと届けるのがいい。そう思って作りました。バージョンアップはみなさんにお任せすることにします。

 前作もそうだったが、本書でも「レシピは自分流にどんどんアレンジしてほしい」というのが明日香さんの思い。かっこつけず、飾らない言葉で綴られているレシピを見ながら調理していると、やる気がなく沈んでいた気持ちもちょっとずつ晴れて、楽しい気分になれるから不思議だ。

 普通のレシピでは省略されてしまっているような「下ごしらえ」の項目が丁寧に書かれているのも、結婚するまで料理をしたことがなかったという明日香さんらしい配慮。「献立の組み立て方がわかりません」という声に応えて、第2章ではテレビ朝日「家事ヤロウ!!!」でもおなじみの炊飯器でごはんが炊ける35分の間に作れる献立が紹介されているので、こちらもぜひ参考に!

 また、本書の発売を記念し4月3日(月)までに、掲載レシピで作った料理写真と本の写真にハッシュタグ「#代わり映えしないのは和田さんのせい」をつけてSNSに投稿すると、30名を和田明日香さんが女将を務めるオンライン飲み会「居酒屋和田屋」に招待するキャンペーンも実施中とのこと。この機会に参加してみてはいかが?
詳細はこちら:https://shufunotomo.co.jp/information/12935/

調理・写真・文=齋藤久美子

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