料理人歴30年以上の笠原将弘氏が、改良を重ねた大切な保存食レシピを惜しみなく公開した料理本!

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公開日:2023/5/8

賛否両論 笠原将弘 保存食大事典
賛否両論 笠原将弘 保存食大事典』(笠原将弘/KADOKAWA)

 人気料理人の笠原将弘氏はテレビや雑誌などでよく知られているが、料理人歴がすでに30年を超えるというキャリアは意外と知らない人が多いのではないか。その料理人生活の中で、いろいろな保存食と出会い、教わり、作ってきたという。

 しかも、仕事で日本各地へ訪れるたびに、その土地に伝わる保存食を調べ、教わり、独学でも勉強してきた。栗の渋皮煮や杏の漬け物は長野の達人に、梅干しは小田原の梅レジェンドに、らっきょう漬けは東京・武蔵小山の居酒屋さんのママに教わり、自分で改良を重ねてきたという。その大切なレシピが、『賛否両論 笠原将弘 保存食大事典』(KADOKAWA)に収められている。

 保存食は時間も手間もかかって大変なものが多い。笠原氏が作っても、年によって仕上がりが変わったり、思い通りにならなかったりすることも多々あるそうだ。それでも毎年作りたくなる、それだけの時間と手間をかける価値があるものだとおしえてくれる。ひたすら栗の鬼皮をむいているときや梅干しを干しているときは、まるで自分の子どもの世話をしているような穏やかな気持ちになり、おいしく思い通りに出来上がったときの喜びや達成感は、フルマラソンを完走したより大きい、というのだから。

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 本書では、春夏秋冬の四季ごとに、その時季おすすめの保存食レシピを紹介している。それは、笠原氏の仕込みの技からなる、大切な45の保存食だ。しかも、保存食を使って日々のおかずにできるレシピまでも紹介してくれている。

 一度作ったことのある人なら共感するだろう。「保存食を毎年、毎年作っていくうちに、いつしか奥深い沼にはまっていく。ぜひあなたもどっぷりとこの沼にはまってみてはどうだろうか」と語る笠原氏の言葉に。どれから作ろうかとうれしい悩みを持たせてくれる、一生ものとも言える至極の保存食本だ。

春の保存食は、ふきのとうみそ、実山椒青煮、いちごのみりん炊きジャム…。

 ページを開くとまず、ふきのとうみそが載っている。これだけでご飯が食べられるおいしさに感動の嵐。

春の保存食は、ふきのとうみそ、実山椒青煮、いちごのみりん炊きジャム…
これだけでご飯が食べられるおいしさに感動の嵐

夏の保存食は、梅干し、はちみつ梅、塩らっきょう、新しょうがべっこう煮、にんにくみそ漬け、柚子こしょう、ぬか漬け…。

 夏は作りたい保存食がたくさん。どれから作ろうか…。梅だけでも9つの保存食レシピが載っている。

夏の保存食は、梅干し、はちみつ梅、塩らっきょう、新しょうがべっこう煮、にんにくみそ漬け、柚子こしょう、ぬか漬け…
夏は作りたい保存食がたくさん。どれから作ろうか…

秋の保存食は、きのこの塩漬け、菊花甘酢漬け、いくらしょうゆ漬け、からすみ、栗の渋皮煮…。

 栗の渋皮煮は作るとはまってリピーターが続出するのも分かる。そして出来上がったときの喜びといったらこの上ない。

秋の保存食は、きのこの塩漬け、菊花甘酢漬け、いくらしょうゆ漬け、からすみ、栗の渋皮煮…
出来上がったときの喜びといったらこの上ない

冬の保存食は、白菜漬け、べったら漬け、かぶの千枚漬け、柚子皮砂糖漬け…。

 白菜漬けは塩と白菜だけで作るシンプルな作り方。白菜の自然な甘みとシャキシャキとした食感がしみじみおいしい一品だ。

白菜漬けは塩と白菜だけで作るシンプルな作り方
冬の保存食は、白菜漬け、べったら漬け、かぶの千枚漬け、柚子皮砂糖漬け…

【著者プロフィール】
笠原将弘
東京・恵比寿の日本料理店「賛否両論」店主。日本料理の魅力を日本に、世界に知ってもらうべく幅広く活動中。料理人歴30年以上の、長きにわたるお店での仕込みの技や手法は、簡単な家庭料理提案から、本格的な日本料理まで多くのファンに支持され続けている。『鶏大事典』『超・鶏大事典』『常備菜大事典』(すべてKADOKAWA刊)など、日本料理のスキルを高める著書多数。

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