冷凍したらおいしくなった! 「下味冷凍」すれば、時短も節約もおいしい料理も叶う。塩と油でできる簡単冷凍術

暮らし

公開日:2023/6/12

おいしくなるうえ鮮度が続く!  塩と油で下味冷凍
おいしくなるうえ鮮度が続く! 塩と油で下味冷凍』(小田真規子/主婦の友社)

 スーパーでまとめ買いした肉や魚、いざ使おうと思ったら消費期限が切れていた…なんてことがわが家ではよくある。もったいないことをしたなと反省するも、気を抜くとまた同じことを繰り返してしまい…。頭を悩ませていたところに、「おいしくなるうえ鮮度が続く! 塩と油で下味冷凍」(小田真規子/主婦の友社)という本に出合った。

“下味冷凍が忙しい日々の味方になってくれる”ことはネットの記事やSNSの投稿で最近よく見かけるので知ってはいたが、下準備が面倒そうでやったことがなかった。

 でも本書によれば肉や魚に「塩」と「油」をまぶして冷凍するだけで、食材がやわらかくなったり、臭みが取れたり、旨みが増したりとメリットがたくさんあるという。これなら私も冷凍ストック生活が始められるかも…と思い、試しに作ってみた。

advertisement

塩+油だけでも効果絶大! 熟成したような旨みや香りが生まれる

 一度試してみようかなという私のような人は、まず「豚薄切り肉」から始めてみるといいだろう。使い勝手がよく、扱いも簡単なのにやみつきのおいしさに仕上がるそうだ。

 用意するのはこの3つ。

【材料・2人分】
豚薄切り肉…200g、塩…小さじ1/2、油…大さじ1

おいしくなるうえ鮮度が続く!  塩と油で下味冷凍

 まず肉の余分な水けをふき、買ってきたパックの上で塩を全体にふる。

おいしくなるうえ鮮度が続く!  塩と油で下味冷凍

 軽く混ぜたらそのまま5~10分ほど置く。塩はふっただけでは中まで浸透しないので、塩がしっかり溶けたのを確認してから次に進むと、効果を最大に引き出すことができる。

おいしくなるうえ鮮度が続く!  塩と油で下味冷凍

 塩が溶けたら保存袋に入れて油を加え、袋の上からやさしくなじませていく。保存袋のサイズは食材が入ればどんな大きさのものでもOK!

おいしくなるうえ鮮度が続く!  塩と油で下味冷凍

 袋を閉じるときは、なるべく食材を薄くして空気を抜く。食材が空気にふれた状態で冷凍すると雑菌が繁殖したり、霜がついたり、冷凍焼けしやすくなったりするためだ。

おいしくなるうえ鮮度が続く!  塩と油で下味冷凍

 これで下準備はおしまい! あとは冷凍庫に入れて保存するだけだ。金属製のバットにのせて冷凍すると、より早く凍らせることができて便利。

おいしくなるうえ鮮度が続く!  塩と油で下味冷凍

 この状態で冷凍しておけば、約2カ月も保存が可能だそう。食材が新鮮なうちに冷凍することで鮮度がより長く保てるので、できれば買ってきたその日か翌日のうちに仕込むのがおすすめだ。

 この豚薄切り肉の下味冷凍を使って、作れる料理はいろいろ! 20~30分室温に置いて(急ぐときはぬるま湯につけてもOK)、フライパンに凍ったままの豚肉を入れ、ふたをして中火にかけて蒸し焼きにするだけでも立派なおかずになる。

おいしくなるうえ鮮度が続く!  塩と油で下味冷凍 p.18-19

安い肉もしっとりやわらか! 「豚肉ともやしの黒こしょういため」(p.20)

 わが家では野菜炒めをよく作る(作るのが簡単で野菜もたっぷりとれるから)ので、今回は「豚肉ともやしの黒こしょういため」に挑戦してみた。

 作り方はフライパンに豚薄切り肉の下味冷凍を凍ったまま入れ、その上にもやしをのせ、ふたをして中火で約3分蒸し焼きにする。

おいしくなるうえ鮮度が続く!  塩と油で下味冷凍

 肉に焼き色がついたらふたを取り、もやしをまわりによせて肉をほぐしながら、火が通るまで1分ほど炒める。

おいしくなるうえ鮮度が続く!  塩と油で下味冷凍

 細ねぎ、しょうゆ、黒こしょうを加えて炒め合わせれば、あっという間にできあがり!

おいしくなるうえ鮮度が続く!  塩と油で下味冷凍

 いつも野菜炒めを作ると豚肉が固くパサパサになってしまうことが多いのだが、塩と油で下味冷凍したこの豚肉は、しっとりとやわらかい食感! 塩味が中までしみこんでいるからかむたびに旨みが広がり、シャキシャキの野菜とも相性抜群だった。

 けっこうしっかり味がついていたので、小さい子どもがいるわが家では塩分を少し控えめにしてもいいかなという塩加減。どんな野菜でも合いそうなので、次は冷蔵庫に余っている野菜をどんどん入れて作ってみようと思う。

皮がパリパリ、うまみがジュワッ! 「鶏もものガーリックソテー」(p.26)

 塩と油の下味冷凍は、とり肉やひき肉、魚にも使える。豚肉が簡単だったので、今度はとりもも肉のソテーも作ってみた。

 下味冷凍の方法は豚肉と同じ。とり肉は水分が多いので、余分な水けをしっかりふいてから下味をつけるといい。

おいしくなるうえ鮮度が続く!  塩と油で下味冷凍

 冷凍室から出して20~30分ほど置いたとりもも肉の下味冷凍を、皮目を下にしてフライパンに入れ、にんにくをのせてふたをして中火で約5分焼く。

おいしくなるうえ鮮度が続く!  塩と油で下味冷凍

 ふたを取って肉に焼き色がつくまでさらに2~3分焼き、肉の上下を返して黒こしょうをふったら、肉に火が通るまで3~4分焼いて完成!

おいしくなるうえ鮮度が続く!  塩と油で下味冷凍

 作りながら皮面焼きすぎかな…? と思ったが、できあがってみると皮はパリッパリ! 中の肉もとんでもなくジューシーに仕上がった。「肉は焼いた後1~2分置いてから切ると肉汁が流れ出にくい」とレシピのメモに書いてあったので、それを実践したのがよかったのかも。フライパンで焼いただけなのにこんなごちそうができるなんて、ちょっと感動ものだ。

 塩と油だけのシンプルな下味冷凍なのに、できあがった一皿のおいしさがいつもより断然グレードアップしていることに驚いた。こんなに簡単なら、また作ってみたいと素直に思える。

 食材の旨みを引き出し、時短も節約も叶う下味冷凍。慣れてきたら、次章に載っている生姜焼きやプルコギ、肉豆腐、照り焼きのような基本調味料の下味冷凍や魚介の下味冷凍にもチャレンジしてみようかな…!

調理・文=齋藤久美子

あわせて読みたい