日本人は世界の貧困層になる!? 貧困国で生き抜き、給料を引き上げる4つの選択肢

ビジネス

公開日:2023/6/16

<タイトル案>
あなたの給料があがらないのは交渉しないから?誰も教えてくれなかった「給料の上げ方」とは
日本の現状はかなり深刻!これから知っておきたい「給料の上げ方」
日本人が豊かになるにはどうすれば?給料の上げ方を知っておこう

給料の上げ方 日本人みんなで豊かになる
給料の上げ方 日本人みんなで豊かになる』(デービッド・アトキンソン/東洋経済新報社)

 あなたの給料は、ここ数年で上がっただろうか。

 最近、日経平均が上がり、日本の株式への投資人気が世界で高まっていると聞いた。私たちは物価高や電気代の家計の圧迫に悲鳴をあげているのに……。どこかおかしいと思っているときに出会ったのが給料の上げ方 日本人みんなで豊かになる』(デービッド・アトキンソン/東洋経済新報社)である。

 帯の「日本を働いただけ報われる国にする」というフレーズが気になって手に取った。日本在住33年のイギリス人アナリストが、日本の現状、世界との比較など、さまざまなデータと共に「今日本人が何をすべきか」を書いた本だ。

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こんなに深刻だった?日本の現状に衝撃を受ける

日本人の給料は、過去30年間、ほとんど上がっていません。

 いざ読み始めれば一行目からショッキングな文章で、つい絶句してしまった。平成が30年以上あったわけで、ほぼその期間上がっていないなんてありえない、とグラフを確認した。確かに、物価は上がっているのに給料は上がっていない。アメリカ、イギリス、カナダ、ドイツやフランスは30年でしっかりと伸びているのに、日本は横ばいである。それは生活も苦しくなる、と暗澹たる気持ちになった。

 第1章「なぜ日本人の給料は低迷しているのか」、第2章「日本人は世界の貧困層になる」では、日本が抱える数々の問題、他国と比較した現状などが理路整然とわかりやすく書かれている。

いまのままの状態を放置すると、あなたはこれからさらに貧乏になります。
 なぜならば、日本では2060年まで高齢者の数がほとんど減らないのに、税金という形で高齢者を支える人の数がいまよりさらに約3000万人も激減するからです。

 これから日本の人口が減少する、少子化が深刻である、といったことは私も当然知っていた。しかしそれがトリガーとなって何を引き起こすのか、現状すでに何が起きているのかをデータで裏付けた上で顕にされると、背筋が寒くなった。

 第3章の導入部でまとめられているが、要は、

「いまのまま何もしなければ、あなたはどんどん貧しくなります」

 ということなのだ。

具体的な戦略と戦術は「動くこと」

 東洋経済新報社のホームページに

本書では「給料の本質」を明らかにし、
日本人の給料を引き上げる「戦略」と「戦術」を導き出します。

と著者のコメントでは、寄せられている。

 給料(収入)を上げるための選択肢は4つ挙げられていて、

・海外移住
・給料交渉
・転職
・起業

 だそうだ。

 実際のところ、本書では具体的な給料の交渉テクニックなどはあまり書かれていない。まず給料に対して交渉ができるという事実、交渉に挑む心構え、会社の見極め方、選び方などが中心だ。

 当人のキャリアや事情、業界や会社規模などによって話が全く違ってくる。著者は何よりも「給料の交渉なんてそんなことできるわけない」と、日本人なら誰もが一瞬は思ってしまう、その前提を変えたいのだと思う。

 日本には給料の交渉など図々しい、はしたないという風潮がある。しかし、もはや「今までそうだったから」ではどうにもならない。そこまで、我が国はすでに追い込まれているのだ。

 政府が何とかしてくれるだろう。あるいは何とかなるだろうという楽観的な物の見方があまりにも易きに流れた考え方だ、と著者が警鐘を鳴らしていることが伝わってくる。

まずは現実と対処法を知ることが大切

 日本はこんな崖っぷち(本では「座して死を待つ」という表現が使われている)なのかと絶望をおぼえるが、精一杯前向きに考えれば、現状を打破する最大のチャンス、「変化の波」が来ていると言えるのだ。

 まずは現状を把握しよう。次に、対処法を知る。そして、給料を上げるべく挑戦してみたい。

 まじめに努力すれば報われるとは限らないけれども、可能性を上げることはきっとできるはずだ。

文=宇野なおみ

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