地球を守るヒーローが復讐すべき敵? 着ぐるみの猫のような“先生”と合体してロボットになり戦うSFバトルストーリー

マンガ

PR公開日:2023/12/1

プラネット・ウィズ
プラネット・ウィズ』(水上悟志/少年画報社)

 主人公の少年が住む街に突如現れる巨大飛行物体! その前に立ちはだかるのは巨大ロボットに変身するヒーローたち! 地球を守るSFロボットものならば王道の展開……ただこの物語は一味違う。このヒーローたちが、主人公・黒井宗矢の倒すべき敵だったのだ。

 先が読めそうで読めない、この物語のタイトルは『プラネット・ウィズ』。漫画家・水上悟志が描き下ろした1074ページのネーム原案を基に、全12話のTVアニメーションも作られた。スタッフには水上氏がシリーズ構成とキャラクターデザイン(原案)に参加し、デザインにいずなよしつね、音楽に田中公平、監督にJ.C.STAFFで多くの作品を手掛けた鈴木洋平という顔ぶれで当時話題になった。

 本記事ではアニメ放送と同時進行で水上氏本人が描いた漫画版『プラネット・ウィズ』(少年画報社)のストーリーと魅力を紹介していく。

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故郷を滅ぼした「龍」への復讐を誓う少年の壮絶な戦い

「宗矢くんがやっつけなきゃいけないのはその7人のヒーローの方」

 これは、記憶を失っている高校生・黒井宗矢に、彼と同居している女性・銀子が言った台詞だ。彼ら二人が、着ぐるみの猫のような“先生”と3人(?)で暮らしているところから物語は始まる。

プラネット・ウィズ

 そんな宗矢のいる街に謎の巨大飛行物体・ネビュラウェポンが現れる。

プラネット・ウィズ

 ただ、駆けつけた7人の男女が「念動巨神装光」という巨大ロボットのような姿に変身し、巨大飛行物体を撃退する。

プラネット・ウィズ

 その戦闘を目の当たりにしていた宗矢は、銀子に言われるがまま先生と念力合体し、ロボットのようなネビュラマシンを発現させる。

プラネット・ウィズ

「念動巨神装光」とド迫力のロボットバトルの末、宗矢は一人のヒーローを倒す。そこで記憶が蘇る。彼は宇宙人・シリウス人の生き残りで、「念動巨神装光」は宗矢の故郷の星を滅ぼした「龍」の力によるものだったのだ。

プラネット・ウィズ

「龍」への復讐心から、自発的にヒーローへ戦いを挑む宗矢。その前にヒーローたちの所属する組織、国民安全管理局・グランドパラディンの所長・竜造寺隆が立ちふさがる。しかし「龍」の力が最も色濃い竜造寺を倒せばハッピーエンド、ではなかった。

プラネット・ウィズ

 ネビュラウェポンとそれを送り込む勢力の正体、銀子と先生の思惑が明かされ、宗矢の真の戦いがようやく見えてくる。この物語は最初から典型的なSFヒーローものの設定を逆手に取ったような展開から始まり、予想外の展開や張り巡らされた伏線で飽きさせない。ストーリーのワクワク感はラストまで続く。

展開にシビれ、ロボのカッコよさとド迫力バトルに惚れる!

 作りこまれたストーリーだけでも魅力的な『プラネット・ウィズ』。その他の魅力も紹介していく。

 まず何はなくともヒーローたちが変身する「念動巨神装光」、先生が変身するネビュラマシンのカッコよさだ。またネビュラマシンがスケールアップする宇宙船バトルモードのゴツさもいい。

プラネット・ウィズ

 そんなメカ同士のバトルも見応えがある。「念動巨神装光」やネビュラマシンとの激アツなどつきあいは迫力満点。宇宙船バトルモードのネビュラマシンの戦闘シーンは、まるで怪獣映画のような豪快さがある。

プラネット・ウィズ

 物語の構造も複雑で情報量が多い。シリウス人の宗矢、銀子と先生、ネビュラウェポンを地球に送り込む勢力、竜造寺、ヒーローたち、そして「龍」。彼らは皆それぞれの信念、理想、正義をもっており、複数の種族や勢力が入り乱れて戦うのだ。

 そのなかで最大の見どころは登場人物の成長だ。彼らはぶつかり、話し、理解しあって成長していく。主人公・宗矢だけではなく、ヒーローたち一人一人のエピソードもじっくり描いており、彼らがわかりあえるようになるところも物語の重要な要素だ。特に宗矢は自分の故郷を滅ぼした敵への復讐心から始まり、次第に自分の居場所や守るべきものを見つけていく。そして物語のキーポイントの「龍」と対峙するのだ。シリウスを滅ぼしつつも、地球を守るヒーローたちを変身させるその力は邪悪か、それとも正義なのか。“すべて”を知り、成長した宗矢が何を思い、どう行動するのか。ぜひラストまで一気に読んで見届けてほしい。

文=古林恭

©水上悟志・BNA・JC/Planet With Project

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