鶏がらスープも豆板醤も使わない! こってり中華のイメージが変わる、家庭で作れるお手軽&ヘルシーな78レシピ

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公開日:2023/12/2

手軽 あっさり 毎日食べたい あたらしい家中華
手軽 あっさり 毎日食べたい あたらしい家中華』(酒徒/マガジンハウス)

 ラーメンや麻婆豆腐、エビチリなど、こってりしていて味が濃いメニューが浮かびやすい中華料理。これはこれで大好きだが、毎日食べていると脂質や塩分の摂りすぎになってしまうのでは?と心配になってしまう。本場中国の家庭ではどうしているのだろう? 『手軽 あっさり 毎日食べたい あたらしい家中華』(酒徒/マガジンハウス)は、そんな疑問を解消してくれる、中国の家庭で多く食べられている「あっさり中華」を紹介しているレシピ本だ。

 この「あたらしい家中華」を手掛けたのは、中国各地の食べ歩きをライフワークとしている中華料理愛好家・酒徒氏。北京、広州、上海に10年間駐在し、noteにて、本場で知った手軽に作れる本格中華料理レシピを紹介する「おうち中華マガジン」を発行。累計発行部数は1万部を超えている。

 本書によると、中国では鶏がらスープやオイスターソース、甜麺醤や豆板醤を使わない、優しい味つけのあっさり中華が主流らしい。食材もシンプルで野菜が多く、本書の中で「中華料理を食べていれば野菜不足になることはありません!」と明言されているほど。飽きがこない、少ない食材と調味料で作れる優しい料理は、レパートリーがいくつあっても困らない。そこで、気になったものをいくつか作ってみた。

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「肉末蒸蛋(豚ひき肉の中華茶碗蒸し)」(P.20~P.21)

 1つめは、出汁を使わずに作る「肉末蒸蛋(豚ひき肉の中華茶碗蒸し)」。深めの器に卵を割り入れてほぐし、塩、水を加えて混ぜる。そこに醤油と紹興酒で下味をつけた豚ひき肉を入れ、弱中火で20分ほど蒸せば完成。最後に醤油とごま油を垂らして小ねぎを散らす。

 茶碗蒸しには出汁を加える手間が必須だと思っていたが、これは豚ひき肉から出る出汁を使った非常にシンプルな味つけ。豚ひき肉に下味をつけているのと、最後にごま油と醤油で調整することで、物足りなさはまったくない。むしろ卵のおいしさが引き立ち、優しくつるんとした食感で体に入ってくる。食べごたえもあり、ごはんのおかずとしても成り立っていた。後乗せした青ねぎの辛みと爽やかさも相性抜群!

「蒜蓉蒸茄子(にんにく風味の蒸し茄子)」(P.57)

 2つめは、「蒜蓉蒸茄子(にんにく風味の蒸し茄子)」。皮ごと細長く切った茄子を塩水につけておき、小ねぎは小口切り、にんにくはみじん切りにする。茄子を皿に並べてにんにくを散らし、強火で10分間蒸す。最後に醤油と黒酢、ごま油を混ぜたものをかけ、小ねぎを散らして完成。

 ジューシーに仕上がった茄子に、みじん切りのにんにくと酸味のあるたれがしっかりと絡んで、ジュワっと溢れる茄子のうまみと合わさりちょうどいい塩梅に。ごま油がほどよいボリューム感を演出してくれるため、ヘルシーでありながら満足感もしっかりと得られるのが嬉しい。黒酢を使うことで、味に深みが出てコクも生まれている。作り置きしておけば重宝すること間違いなしの一品だ。

「拍黄瓜(きゅうりの冷菜)」(P.70~P.71)

 最後は、5分で作れる中国で定番の前菜「拍黄瓜(きゅうりの冷菜)」。縞模様に皮をむいたきゅうりを包丁の腹で叩いて割り、4センチ幅に切る。ボウルに切ったきゅうり、みじん切りにしたにんにく、塩、米酢、ごま油を加えて和えれば完成。

 きゅうりを叩いて味染みを良くすることで、塩もみなどの工程を経なくてもすぐに味が馴染んでくれる。塩、米酢のスッキリとした味つけにごま油の香ばしさとコクが加わることで、食欲を掻き立てる飽きない味に。短時間かつ少ない材料で作れるため、もう一品に取り入れやすいのもありがたい。

 どの料理も、シンプルな味つけで野菜が多く摂れる、素材の持つ味を活かしたヘルシーなものばかり。見た目は少々劣るかもしれないが、茶碗蒸しと蒸し茄子は、蒸す工程を電子レンジに任せればより時短できて普段使いのおかずにしやすい気もしたので、自分の料理スキルに合わせて臨機応変に調理方法を変えてみてもいいだろう。いずれにせよ、こういったレシピが頭にあるだけで、手軽に野菜を摂りたい日に大助かりすること間違いなし。これからは手軽でヘルシーな家中華も取り入れていきたい。

調理、文=月乃雫

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