“ちくちく言葉”と“ふわふわ言葉”という言葉を知っていますか? 4歳から「言葉選び」の大切さを学べる絵本

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更新日:2024/2/23

ふわふわとちくちく: ことばえらびえほん
ことばえらびえほん ふわふわとちくちく』(齋藤 孝:監修、川原瑞丸:イラスト/日本図書センター)

“ちくちく言葉”と“ふわふわ言葉”という言葉をご存じですか? ちくちく言葉とは、相手の気分を害する言葉のこと。ふわふわ言葉とは反対に相手の心を癒したり、温かい気持ちにさせたりする言葉のことです。この言葉は子どもにもわかりやすいため、小学校の道徳の授業などで使われることもあるそうです。そしてそれらを子どもにわかりやすく伝えるのが『ことばえらびえほん ふわふわとちくちく』(齋藤 孝:監修、川原瑞丸:イラスト/日本図書センター)です。

 4歳からおすすめという本書では、ちくちく言葉を「相手の心が痛くなったり切なくなったりする言葉」、ふわふわ言葉を「相手の心が元気になったり、楽しくなったりする言葉」と紹介。“切なく”なんて4歳にわかるのかなと思ってしまいましたが、例としていくつかの言葉が載っているので、とてもわかりやすいです。

ふわふわとちくちく: ことばえらびえほん

 というか、ちくちく言葉の例にある「はやくして!」「きをつけてよ!」なんてまさに私が子どもに言っている言葉でした。そして本書では「どちらが素敵な言葉かな?」と子どもが自分で考えられるように質問し、さらに「たった一言で相手の気持ちが明るくなったり暗くなったりする」という大切なことを教えてくれます。

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 中盤からは、 “ちくちく言葉”と“ふわふわ言葉”の言葉分け、ふわふわ言葉だけを通ってゴールを目指す迷路など、楽しめる仕掛けで理解を深めていきます。

ふわふわとちくちく: ことばえらびえほん

 そして後半では、「ふわふわ言葉を使った方がいいとわかっていても、ついちくちく言葉を言ってしまう時、どうしたらいいか」と子どもたちに問いかけます。正直これは大人でも難しい問題。私も先ほどドキッとしたように、特に家族間や親しい間柄でついキツい言い方をしてしまうというのは、だれしも経験があることではないでしょうか。そんな時、一瞬立ち止まって言い方をふわふわ言葉に変えてみる。それは大人か子どもかは関係なく、人生の中でもかなり必要なスキルになると思います。

ふわふわとちくちく: ことばえらびえほん

 たとえネガティブな気持ちであっても、そのすべて言わずに我慢していたらストレスが溜まります。だからこそ、相手を不快にすることなく自分の気持ちを上手く伝えることは大切です。そして、それができたら、親子関係も夫婦関係ももっと素敵なものになりそうです。

 と、内省モードになってしまいましたが、この本が対象としている4歳から7歳というのは一通りの言葉を覚え、お友達などから強い言葉を覚えるとつい使ってみたくなる時期の入り口。我が家の4歳と7歳の子どもも、時々「えっ」と思うほど乱暴な言葉を使うときがあります。そんな時にふわふわ言葉とちくちく言葉のことを思い出し、相手の気持ちを考えた言葉選びができたら、これからどんどん複雑になっていくであろう友達との交流も、よい方向に行きそうです。

 ちなみに本書の最後には監修者である齋藤孝さんから保護者へ向けたメッセージが。そこには「たいせつなのは『ことばを選ぶ力』」「どんなことばを選ぶかで、その人の心がわかります」とあります。これから子どもの言葉遣いを心配する前に、まず自分の「ことばを選ぶ力」を磨いていかなくてはいけないなと心が引き締まったのでした。

文=原智香

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