ナゾ×学園×アクション! 近未来の日本で刀を武器に戦え!

小説・エッセイ

2014/2/4

雪月花黙示録

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : KADOKAWA / 角川書店
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著者名:恩田陸 価格:1,728円

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 「イヤでござんす、ペリーさん」と1853年浦賀での黒船来航を語呂合わせで覚えたものだが、当時の人々にとっては「イヤ」では済まない天変地異だったろう。外の世界から攻め来る圧倒的な勢力。得体の知れないモノが迫り来る恐怖。当時の人々はいい知れぬ恐ろしさを感じたに違いない。もし、近未来の日本にも、そんな危機が訪れたとすれば、アナタはどうするだろうか。

 『雪月花黙示録』は恩田陸氏によるスリル溢れるエンターテインメント小説だ。「この小説を映画化するとしたらどんなイメージにしたいか」という観点から映画美術監督・種田陽平氏がデザインした装丁も美しいが、その本の中身も映画のような壮大なスケールだ。

 舞台は、大和文化を信奉する「ミヤコ民」と物質文明に傾倒する「帝国主義者」に二分された近未来の日本。ミヤコを束ねる役割を担う会長で、頭脳明晰の美男子・紫風は選挙で再選を目指していた。だが、選挙で妨害工作が続発。いとこの蘇芳のフィアンセで、帝国主義者の道博の仕業かと思えば、第3の勢力「伝道者」を名乗る者が出現する。悠久のミヤコを何者かが狙っている! 紫風はミヤコを危機から救うことができるのか?

 ミヤコ民である蘇芳と萌黄は紫風と同様に優れた剣の腕を持つ。着物や袴、セーラ服と言った服装で刀を光らせ、敵とたくましく戦う姿は、その服装とのギャップが面白い。空から降ってくる不気味なミズスマシロボットや人も建物も飲み込んでいくジェル状のバケモノなど、敵はありとあらゆる近未来の技術を用いて、紫風たちを危険へと陥れていく。それを武士のごとく、一刀両断するさまは、手に汗握る。

 キャラクターの個性も強い。一番のインパクトがあるのは、蘇芳のフィアンセのミッチーこと「及川道博」だろう。ビラビラの服と縦ロールという出で立ちの道博は、亀型の小型の円盤に乗って現れたり、常に背中にバラを背負っていたりする。個性的なキャラクター達が紫風たちの前に立ちはだかる。

 敵が迫ってきた時、鎖国状態のミヤコはどのように立ち向かって行くのか。どのような決断をするのか。共に敵と戦っていくような気分にさせられるようなこの本は読むロールプレイングゲームだ。迫力溢れるストーリー展開から目が離せなくなってしまうこと間違いない。


「ミヤコ」と「伝道者」に二分化された世界で、第3の勢力が出現

黒幕はミッチー?

ロボットを刀で切り裂いていく少女の姿はたくましい

今回の事件はミヤコの歴史が深く関わっていた
(C)恩田陸/KADOKAWA 角川書店