家計が厳しいから「お父さんのこづかいを減らす」が間違いなワケ

ライフスタイル

2018/2/22

『お父さんの「こづかい」は減らすな! お金と時間から自由になるための やってはいけない12カ条』(泉正人/朝日新聞出版)

 東京都の中央区立泰明小学校が、今春入学する1年生から、イタリアの高級ブランド「アルマーニ」監修の新しい標準服(制服)に切り替えることが、大きな波紋を呼んでいる。それもそのはずで、制服代にかかる親の負担は最大9万円となり、昨年までの同校の標準服出費に比べて約3倍にも上るからだ(参照記事、2月10日、ダイヤモンドオンライン)。

 こうなると、平均的なサラリーマン家庭のやりくりは一転して、緊縮財政を強いられることになる。そして一家の財務部長たる奥さんから、「いろいろ節約するから、お父さんのおこづかいも減らします」と、「減おこづかい通告」がなされ、「それでは昼飯代しかなくなる…」と嘆く、一家の最高経営者にして営業部長(稼ぎ頭)たるお父さんたちも、多いのではないだろうか。

 このように、家庭の家計のやりくりを考える際、家庭を「家庭株式会社」と考えて、会社経営に置き換えてみることを奨励するのが、『お父さんの「こづかい」は減らすな! お金と時間から自由になるための やってはいけない12カ条』(朝日新聞出版)の著者、泉正人氏。現在、東京・大阪・ニューヨークで3つの学校を運営し、「お金の教養」を伝授する金融経済教育の専門家である。

●お父さんのこづかいを減らすことで、収入はどんどん減る!?

 では、先の例での財務部長(奥さん)の「減おこづかい通告」は正しい判断だったのか? 泉氏は本書でこう記している。

「家計が厳しいからしょうがない」とお父さんのこづかいを減らすことで、今月の家計は助かるかもしれません。しかし、5年後、10年後のお父さんの収入は、どんどん減ることになります。

 その理由を説明しよう。「会社内で昇進するためには、より一層、能力を高め、ほかの社員とコミュニケーションを図ることも重要になる」「そのためにはインプットが必要」と記す著者。インプットとは例えば、スキルアップのための勉強、資格取得、人脈開拓などなどである。しかし、お父さんのおこづかいを減らせば、インプット費用もなくなることになり、その結果、昇進も見込めなくなるのだ。

 つまり、目先の家計の余裕のために、一家の稼ぎ頭であるお父さんが長期的に得られるかもしれない高収入の可能性をゼロにしてはいけない、というアドバイスなのである。

 世のお父さんからは「そうだ、そうだ!」と、割れんばかりの歓声が上がりそうな指摘だが、もちろん著者は「ただしお父さんは、こづかいをしっかりと収入アップに向けて使わなければ意味がない」とも、しっかりとくぎを刺す。

 本書にはこのように、「短期的な視点だけで判断せずに、長期的な利益・損益をしっかりと視野・考慮に入れて、人生における『お金と時間』を有効活用する」ための12か条がまとめられているのである。

●無料と安すぎる買い物には要注意!

 本書後半にかけては、投資・資産運用やマンション購入など、大きなお金を使う際のアドバイスが中心となる。中でも「むやみやたらと無料に飛びつくな」(第9条)は、これからマンション購入などを考えている人には必読のアドバイスだ。

 本書では、「仲介手数料無料」という文字に惑わされ、結果的に損する中古マンション選びをしてしまった家庭の例があげられている。そして著者は「無料と安すぎる買い物には要注意」であると指摘する。

 他にも、「自由席は不自由席」「ポイントカードは財布に入れるな」など、少額のお金と時間の使い方へのアドバイスや、大きなお金の使い方に慣れるために「財布に50万円を入れて持ち歩こう」など、ユニークなアドバイスも学べる本書。少額から高額まで、お金に対する世の常識と使い方の盲点を、鋭く指摘してくれるありがたい一冊である。

文=町田光