おさまらない怒りは復讐で鎮める? ありそうでなかった「感情の取説」

暮らし

2018/3/20

『「感情」の解剖図鑑 仕事もプライベートも充実させる、心の操り方』(苫米地英人/誠文堂新光社)

 毎日、毎分、毎秒、私たちは何かしらの「感情」を抱いている。怒ったり、落ち込んだり、嫉妬したり、かと思えば喜んだり……。そのたびに血圧もテンションも乱高下。自分から生み出されているとはいえ、こればかりはコントロール不能なものだと思っていた。しかし、『「感情」の解剖図鑑 仕事もプライベートも充実させる、心の操り方』(苫米地英人/誠文堂新光社)によると、どうやらそうでもないらしい。

感情に振り回されないためにはどうしたらいいのでしょう?
実は、それはとても簡単なことです。
感情を娯楽にすればいいのです。
(本書より引用)

 本書では、「悲しみ」「不安」「楽しさ」「優越感」など、37個の「感情」が発生するそれぞれのメカニズム、背景、コントロール方法などを、ユニークなイラストとともに紹介。感情に翻弄されっぱなしではなく、むしろ感情を楽しみながら操ることで、充実した人生を手にいれるという、ありそうでなかった「感情の取扱説明書」だ。

 例えば、「怒り」という感情は、自分が何らかの攻撃を受けたと脳が判断することで生まれる。怒りによって分泌されたノルアドレナリンは、大脳の奥深く本能などを司る“大脳辺縁系”を活性化させ、思考や創造性を担う“前頭前野”の働きを抑えてしまう。だから、人は怒ると冷静にものごとを考えることができなくなってしまうのだという。

 ムカつく上司から浴びせられた理不尽な言葉が、夜、布団に入っても思い出され、怒り心頭で眠れない! なんてことを経験した人も多いだろう。そこで本書がオススメする方法は、なんと「復讐を考えること」。恐ろしい対処法にも思えるが、もちろん実行はしなくて良い。

「相手へどんな復讐をすれば、一番効果的か?」

「はたしてギャフンと言わせることができるのか?」

 そういった思考を巡らすと、怒りという感情で抑えられていた前頭前野がメキメキと活性化。そうすると、大脳辺縁系の働きが弱まり、そこで増幅していた「怒り」の感情が鎮まっていくという仕組みだ。たまに、「怒ったところを見たことがない」なんて人がいるが、もしかするとあの人は頭の中ではとんでもない復讐を企てているのかもしれない……なんていう想像もしてしまう。

 他にも本書では「嫉妬」の止め方や、「劣等感」を手放す方法、「空虚感」に襲われないための方策、「幸福」と洗脳、「愛しさ」のコントロール法、「好奇心」の上手な使い方、「悲しみ」を後回しにする方法といった、ネガティブ、ポジティブ問わずさまざまな「感情」との付き合い方を詳しく知ることができる。

 考えてみれば、仕事の不満、人間関係の悩み、他人との比較など、日々ストレスに感じている事柄は、それらに対して自分自身が抱く「感情」の影響がとても大きい。つい外側向けの対処に必死になってしまいがちだが、本書で自分の内側である「感情」の操縦方法を身につけるのもいいだろう。
 気持ちの浮き沈みを楽しんでしまうくらいの方が、ストレス解消にははるかに効果がありそうだ。

文=吉田裕美