赤ちゃんが頭にケガ、もし虐待を疑われたら…? 親が知っておきたい対策法【本当にあった恐ろしいケース】

出産・子育て

2018/8/17

『赤ちゃんが頭を打った、どうしよう!? 虐待を疑われないために知っておきたいこと』(小児脳神経外科医・西本博、藤原一枝/岩崎書店)

 赤ちゃんを育てるのは、一人目、二人目関係なく大変なもの。どんなに気を配っても、免疫力の弱い赤ちゃんは思わぬ病気にかかってしまうこともあれば、寝返りやハイハイ、つかまり立ちなど自分で動けるようになるとケガをするリスクもグンと増える。かけがえのない我が子が元気に成長するべく日夜奮闘するママ&パパにぜひ読んでほしい重大な本が緊急出版されたのでお知らせしたい。

 その本とは『赤ちゃんが頭を打った、どうしよう!? 虐待を疑われないために知っておきたいこと』(西本博、藤原一枝/岩崎書店)。頭でっかちな赤ちゃんは、ちょっと目を離したすきにバランスを崩して転倒することがある。中でも頭を打ったら一大事。本書はそんなときにはどうしたらいいのか、2歳以下の赤ちゃんへの対処法を丁寧に教えてくれる。

「赤ちゃんのどんな様子をチェックする?」「病院に行く目安は?」「CTが必要なケースは?」など、いざという時に動顚しないためにも知っておきたいことが詰まっているのだが、さらに注目なのはサブタイトルにもある「虐待を疑われないために知っておきたいこと」。実は近年、思わぬ事故で頭を打って病院を受診したところ、親による「虐待」を疑われるという事例が頻発。最悪の場合は、親にいくら身に覚えがなくても親子隔離の行政措置がとられるといった、驚くべきことが起きているというのだ。

■つかまり立ち期は注意! 家庭内の軽いケガで発生する「急性硬膜下血腫」

 赤ちゃんが頭を打った場合、重大なケースとして「急性硬膜下血腫」(頭部への衝撃による脳内出血)が起きることがあるのだが、その原因は交通事故などの激しい衝撃とは限らない。ちょっと保育者が目を離した隙に起きる「ささいなこと」が原因になることが実に多いのだ。

 問題はこうした原因で起きる症状と、乳児を前後に強く揺さぶるなどの虐待で起きる「揺さぶられっこ症候群(SBS)」とが極めて似ていること。本来なら診断後の医学的・社会的対応が全く異なるので厳密に区別しなければならないが、実は両者のCTやMRIでの画像がよく似ていて医学的な見分けがつかないことが多いのだという。

 現在、小児医療の現場では虐待を少しでも食い止めようと「虐待防止委員会(CPT)」を設置し、治療をすすめながら虐待の有無も検証しているのだが、この「急性硬膜下血腫」の場合には虐待の有無は判断しにくく、「疑わしき」は病院から児童相談所に通告されることが多い。その結果、保護者がいくら「虐待はしていない」と訴えても「この親が虐待するはずがない」と周囲が訴えても、赤ちゃんは一時保護扱いになり、たとえ元気になっても、親と隔離するため、乳児院に入所させられるケースが増えているというのだ。

■13カ月の過酷な行政処分も…! 本当にあった恐ろしいケースとは?

 なんとも驚きの実態だが、虐待の報道が増え、社会の関心も高まる中、「疑わしきは罰せず」ではなく「罰する」のが、児童虐待防止の現場の意識であり、結果的に「冤罪」も多く発生していると本書。「もし虐待を疑われたら?」と、一時保護の流れやその後も詳しく解説してくれるのは心強いが、もしも誤って親子分離の措置が児童相談所から通達されても「残念ながら、防ぐ手立てはない」との断言にゾッとする。むしろ「やってない!」と主張すればするほどクレーマー扱いになることもあるらしい…!

 こうした不条理な現実を少しでも変えたいと、2人の小児脳神経外科医が立ち上がって緊急出版したのが本書でもある。むやみに不安になるのも問題だが、「明日は我が身」。読んでおいて損はない。乳幼児を育てる当事者や関係者だけでなく、できればこれから出産を迎える方たちにもおすすめしたい一冊だ。

文=荒井理恵