歴史を動かしてきたのは男と女のドロドロした本性? 真相を知るとゾッとする世界史の闇

文芸・カルチャー

2018/8/15

『本当は怖い世界史 戦慄篇』(堀江宏樹/三笠書房)

 世の中でいちばん怖いものは幽霊でも怪奇現象でもなく、生身の人間かもしれない。ときとして人は、愛・権力・名声を追い求めるあまりに理性を失い、思いもよらぬ愚かな言動をすることがある。それが“人間の本性”なのだろう。この世界は、そうやって垣間見える狂気と闇によって動かされてきたのかもしれない。この“人間の本性”ほど、強力に世界の運命をあらぬ方向へと導くものはない。

 本稿では、それを裏付ける数々の世界史上のできごとを『本当は怖い世界史 戦慄篇』(堀江宏樹/三笠書房)から、みなさんにいくつか紹介する。かの有名な歴史上のできごとの裏に隠された生々しい真実を知って、ゾッとしない人はきっといないだろう。

■ジョン・F・ケネディ――自身の「男らしさ」への執着が死を招いた

 アメリカ国内だけでなくいまだ広く名を知られているジョン・F・ケネディ元大統領。彼は大統領の任期中のパレードの最中に暗殺されてしまう。そんな彼の暗殺には、彼が心の中に抱えていた闇が大きく関係しているのだという。

 その闇というのは、彼が「男らしさ=危機に無頓着」と考えていたことである。のちに暗殺されてしまうこととなるテキサス州・ダラスでのパレードと演説の前に、彼はシークレットサービス(大統領の警護に当たるSP)から防弾パネルの使用を勧められていた。ところが彼は「僕の妻、ジャクリーンの美しさをダラスの人々に見てほしいから」といい、これを拒否したというのだ。ジョンは自らを危険にさらすことが男らしいことであると捉えていたようだが、ここに一大国の大統領でさえも自己顕示欲にとり憑かれて自らを滅ぼしてしまうことがあり得るのだ、ということが垣間見られる。

■男にすがり続けたスコットランド女王・メアリーの末路

 時は16世紀、イングランド女王・エリザベス1世の政敵であるスコットランド女王のメアリー・スチュアートはその色白で飾らない美しさとは裏腹に、異常な男癖をもっていたという。一国の女王とはいえ、彼女もひとりの女性。頼もしくて愛情をたくさん注いでくれる男性を欲するのは致し方ない。ところが彼女の男にまつわるエピソードには思わずゾッとしてしまう。

 メアリーは、幾多もの恋愛を経ながら生涯に3度結婚したといわれている。その中でも2度目の結婚相手であるヘンリー・ダーンリー卿との関係は異常だった。ダーンリー卿の若さとスタイルのよさ、それに男らしさにべた惚れしていたメアリーだったが、結婚するとダーンリーのわがまま三昧が発覚し、メアリーは興ざめしてしまう。次第に夫への思いは薄れ、秘書であるイタリア人のダヴィッド・リッチオとの仲を深めていったという。そんなある日、メアリーがリッチオの子どもを妊娠したとの噂が流れたが、それに激怒した夫・ダーンリーはメアリーの目の前でリッチオをめった刺しにしてしまった。

 その翌朝、ダーンリーがメアリーの部屋を訪ねると、そこにあったのは悲しみに暮れるメアリーではなく、落ち着きを取り戻したメアリーの姿だった。彼女はそのまま「あんな騒ぎを起こしてすまなかった」と謝るムシのいい夫・ダーンリーの愛撫を受け入れたのだという…。

 歴史というものは、思わぬ形であっちへこっちへとその進む向きを変える。歴史の大きな転換点は、もしかしたら、感情に支配され理性を失ったひとりの人間の手にかかっているのかもしれない。そしてときとして、現代でもわたしたち一人ひとりの運命がそれにゆだねられている場合もある…。そう考えると、ぞっと背筋が凍りつかないだろうか。

文=ムラカミ ハヤト