だ液は体調を整える最大の「ガードマン」! 今すぐスタートできるだ液を増やす生活

暮らし

公開日:2018/10/7

『自律神経は1分で整う! 人生が変わるお口の健康と自律神経の話』(今野清志/自由国民社)

「夜、ぐっすりと眠れない」
「突然、めまいがする」
「疲れがいつまでも体に残っている」

 こうした症状に苦しんでいる方は、自律神経が乱れている可能性がある。自律神経は体や心の状態を調和する重要な神経であるため整えることが大切だが、具体的にどうやって乱れを改善していけばいいのか分からないと、精神安定剤などの処置に頼ってしまいやすい。しかし、『自律神経は1分で整う! 人生が変わるお口の健康と自律神経の話』(今野清志/自由国民社)を読めば、その考えがガラっと変わるはずだ。

 本書によれば、自律神経にはだ液の量が深く関係しており、十分な量が分泌されている人は乱れが少なく、分泌量が少ないと乱れがちになっている傾向があるのだそう。今野氏はこうした事実に着目し、だ液の分泌を促すことで自律神経を整えるエクササイズを考案している。そこで本稿では、意外と知られていないだ液の働きを確認しながら、だ液量をアップする今野流のマッサージを紹介していきたい。

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■だ液と免疫力の深い関係とは?

 だ液は消化作用や口腔内の環境を整えるといった役割を果たしているが、その他にもユニークな働きをしている。例えば、だ液に含まれている粘性を与える成分は、唇や舌、歯、口の中の粘膜の働きをコントロールして、発声や発音をスムーズにする。さらに、だ液はなんと免疫力とも深い関わりがある。だ液は私たちをさまざまな敵から防衛し、免疫力を高めてくれている。だ液が免疫力をパワーアップさせる働きは、主に5つある。

(1)細菌の増殖を抑える
(2)喉からのウイルスの侵入をガード
(3)アレルギー性疾患の予防
(4)がんを予防する
(5)細胞の再生を促す

 私たちは知らないうちに、こうしたうれしい恩恵をだ液から受けているのだ。現代人は昔に比べてやわらかいものを多く食べるようになったり、大きな声で話さなくなったりしているため、口周りの筋肉が衰え、口呼吸をする人も増えてきている。だが、口呼吸をしているとだ液が蒸発し、交感神経ばかりが過剰に働いてしまう恐れがあるそうだ。そのため、だ液と自律神経は密接に関わっているともいえるのだ。だ液はさまざまな役割を担っている大切なものだからこそ、今野氏考案のエクササイズで分泌量をアップさせ、健やかな心と体を維持していきたい。

■自律神経を整える呼吸法やマッサージとは?

 自律神経を整えるにはまず、過剰に働く交感神経を落ち着かせ、副交感神経を必要なだけ活性化させる基本の「リラックス呼吸法」を実践してみよう。実践するときは、はじめに息を吸うのではなく、まず吐き出すのがポイント。深呼吸をするときに息を吸ってから吐くこと多いが、実は、先に息を十分吐くほうが、自然にたっぷりと酸素を取り入れることができる。

 そして、息は鼻から吸い、口から出すように心がけよう。なぜなら、口から息を吸ってしまうと口の中が乾きやすくなり、だ液で満たされなくなってしまうからだ。吸うときは胸を膨らませる胸式呼吸ではなく、お腹を膨らませる腹式呼吸を行うと横隔膜が上下し、近辺にある自律神経が刺激される。

 また、呼吸法以外の方法も積極的に実践してみたい方は、だ液の分泌量を高めるマッサージを日常的に取り入れ、自律神経を整えていくのもよい。今野氏が提唱する「だ液力アップマッサージ」は、「耳下腺」や「顎下腺」「舌下腺」という3つのだ液腺を刺激するのがポイント。だ液量がアップすると免疫力も高まり、副交感神経も活性化するため、心身にうれしい変化が見られるようになるはずだ。

 一見関わりがなさそうなだ液と自律神経の関係にスポットを当てた本書は、神経をすり減らしながら生きている多くの現代人にとって頼れる1冊だ。他にも表情筋の引き締めにも効果的な「口輪筋エクササイズ」や、だ液を増やすのに有効な食生活のヒントなど、すぐに役立つトピックが盛りだくさんだ。気を張り続けなければならない生活を送っている方はぜひ、本書の知識とエクササイズを活用して心と体を爽快にしてみてほしい。

文=古川諭香