日本史は“流れ”を理解せよ! 学び直しにも最適な文庫版『漫画版 日本の歴史』が続々刊行!

文芸・カルチャー

公開日:2018/10/27

 日本史の学習は、ただ年表とにらめっこしているだけでは始まらない。筆者は大学受験に向けて勉強をしているとき、当時の先生に「“流れ”を理解しろ」と口を酸っぱくして言われた。その先生の教えは、目先の入試における論述対策であると同時に、本質的な意味で歴史を学ぶことにも直結している。筆者は、この“歴史の流れを理解する”ことは、その時代に起きた個々の出来事を紐づけ、ときにその時代を生きた人々に想いを馳せながら、歴史を“ストーリー”として捉えることだと考えている。そして、その“ストーリー”を通じて人間や社会の性質を知り、それをこれから生きていく上での “ヒント”にする…それこそが、歴史を学ぶ大きな意義である。

 こうした意味で、マンガ表現によって日本史を“ストーリー”として読ませる「漫画版 日本の歴史(角川文庫)」シリーズ(山本博文:監修/KADOKAWA)は、本質的な歴史学習の入門書としてうってつけだ。10月より3ヵ月連続で刊行され、1巻と最終15巻、そして関心が強く人気のある戦国時代の第8巻が先に刊行。本稿では、第1弾として発売された第1巻「日本のはじまり」と第15巻「戦争、そして現代へ」の内容を紹介する。

■村や国はいかにして生まれたのか?――「日本のはじまり」

 第1巻「日本のはじまり」は、日本列島の誕生・縄文時代から大和政権の発展までをマンガ化している。第2章「弥生時代――戦いのはじまり」では、紀元前4世紀ごろに大陸からやってきた人びとが伝えた「稲作」と、それが人々に与えた影響について描かれる。

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 稲作は、人々の暮らしを豊かにする代わりに、食糧や土地をめぐる争いを発生させた。そして、村同士が争いを起こした結果、村がまとまった「国」ができ、国を統率する「王」が生まれる…。この巻は、原始的な社会が形成される過程を、“流れ”で掴める構成になっている。

■敗戦国・日本が通ってきた道――「戦争、そして現代へ」

 最終15巻「戦争、そして現代へ」は、1937年の日中戦争に始まり、敗戦からの復興、そして、2011年の東日本大震災までを描く。この巻の読みどころは、なんといっても第1章の「第二次世界大戦」だろう。日本は、なぜアメリカと戦わなくてはならなかったのか。単に“戦争は悪いこと”と認識するだけでなく、真珠湾攻撃に至る“流れ”を理解することこそが、平和な未来の作り出す第一歩となる。

 また、第15巻を通じてこの100年近くの歴史を追体験すると、短期間で人々の生活様式や価値観が変化していることを実感する。私たちが生きる“今”の常識は、決して絶対のものではないのだ。

 第1巻と第15巻の大きな特徴は、時代ごとに“その時代を生きた一般人”のモデルケースを作中に登場させ、当時の庶民の感情を推し量れるようになっていること。彼らの置かれている状況、それに対する感情、持っている価値観――そうした手触り感のある“人”の歴史を、マンガ表現を通じて読者に教えてくれる。

 さらに、文庫化に際したオリジナル企画として、シリーズを監修している山本博文教授によるコラム「はみだし講義」や、宮部みゆき、和田竜、門井慶喜、出口治明といった豪華メンバーによる解説文が付記されている。そのため、日本史をはじめて学ぶ子供だけでなく、昔勉強した大人たちが再び手に取る教材としても満足できる内容になっている。サイズもよりコンパクトになり、持ち運びやすくなっているから、スキマ時間の“学び直し”には最適だ。

文=中川 凌