女の子がいろいろな未来を想像!? ヨシタケシンスケの最新絵本『それしか ないわけ ないでしょう』

文芸・カルチャー

2018/11/2

『それしか ないわけ ないでしょう』(ヨシタケシンスケ/白泉社)

 毎度毎度、想像もつかないような、それでいて幼いころに一度は考えたことがあるようなユーモアあふれる絵本で驚かせてくれる、ヨシタケシンスケさん。新刊が出れば必ず話題になり、子どもはもちろん大人まで虜にしてしまう。そんな彼の新しい絵本が『それしか ないわけ ないでしょう』(白泉社)だ。

 本作品は、主人公の女の子におにいちゃんが放った「みらいはたいへんなんだぜ」というひとことから始まる。それを聞いた女の子はショックを受け、おばあちゃんにそれを伝えに行く。

 しかしそれを聞いたおばあちゃんは、「だーいじょうぶよ!」と笑い飛ばす。おとなの言うことはたいてい当たらない。「みらいは たーくさん あるんだから!」と、女の子を安心させる。そしてこの言葉が、女の子の想像力をかき立てる。例えば「まいにちウインナーのみらい」「まいしゅうどようびはクリスマスのみらい」など、女の子の世界はどんどん広がっていく。

 子どものころ、「お風呂がプリンだったらいいのに」とか「アニメのキャラクターが画面から出てきたらいいのに」と考えた人は多いはず。この女の子も、そんな感じでどんどん理想の世界を作り上げていく。

 大人からすれば、「そんなわけないでしょ」「いやでもそうなるとこっちが……」と、否定してしまうことも多い。でも、理想を空想することを忘れてしまったら、そういうことをせずに大人になってしまったら、きっとすごくつまらない人間になってしまうような気がする。

 現実を突きつけることも時には大事かもしれないが、必要以上に思考の幅を狭めてしまうのはもったいない。実際、理想を求め続けた人たちによって、技術は発展していく。「こういう考えもある」というレパートリーを増やすことは大事だが、考えることが皆同じである必要はないのだ。

 本書の後半には、女の子の真っ直ぐさが切ない展開も待ち受けていたり、「やっぱりお母さんは子どものことを分かってらっしゃる(笑)」というくすっと笑えるオチもあったりする。タイトルでもある「それしか ないわけ ないでしょう」という1つのテーマを貫きつつ、様々な側面を見せてくれるのは、さすがヨシタケさんだ。

 大人もたまには、「明日はこんな未来かもしれない……」と思考を巡らせてみると、変わらない毎日にマンネリを感じている人もリフレッシュできるかもしれない。そしてもしかしたら……!?

文=月乃雫

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