本場ヨーロッパのフライドポテトはひと味もふた味も違う!? おいしいものアンテナで探る欧州旅

アニメ・マンガ

2018/11/20

『ヨーロッパたびごはん』(ながらりょうこ/イースト・プレス)

 旅行先でふと、「ここに住んだらどんな感じなんだろう?」と思うことがある。「あそこのスーパーや市場で普段の買い物をして、休日はあの公園を散歩して…」なんて、妄想はふくらむばかり。旅というカタチで非日常で新鮮だった土地が、日常の生活の地になると、何かしら大変なこともあるのだろうが、新しい経験というのは自分の世界を広げてくれるものだ。

 本稿で紹介する『ヨーロッパたびごはん』(ながらりょうこ/イースト・プレス)は、フリーランスのイラストレーターである作者が、夫と共にドイツ・ベルリンに移住し、そこを生活拠点としながらヨーロッパ各地を旅行し、その都市ならではのおいしいものに出会う顛末が描かれたコミックエッセイだ。

■アムステルダムのホットスナックを食べ尽くせ!

 作者夫妻がやってきたのは、オランダの首都・アムステルダム。日本からだと飛行機で約12時間かかるが、ベルリンからは約1時間半と、東京―九州間ほどの距離感で、比較的お手軽に行くことができる。

 運河のある景色が有名なアムステルダムの街歩きを楽しみながら、夫妻が目指すのは、もちろんおいしいもの。街歩きのおともにぴったりなのは、「フリッツ」だ。フリッツとは、いわゆるフライドポテトで、そこにお好みのソースをたっぷりのせるのがオランダ流。選んだソースは事前リサーチを踏まえて、名物のオーロッホソースを。これはあっさりタイプのマヨネーズと、甘辛いピーナッツソースの2種盛りソースに、きざみ玉ねぎがトッピングされたものだ。さっぱりマヨと濃厚ピーナッツソースの組み合わせはくせになる味で、ボリュームたっぷりのフリッツにもぴったりだという。おいしいスナックでエネルギーがしっかり補給されたところで、さらなるホットスナックを求め、街歩きは続く…

■おいしいものを楽しむために、軽やかに暮らそう

 本書ではこの他にも、パリ(フランス)、タンペレ(フィンランド)など北欧三カ国、ロンドン(イギリス)、そして生活拠点のベルリン(ドイツ)で出会ったさまざまなおいしいものたちが紹介されている。北欧三カ国編を除く全編はどれもモノクロページだが、それがかえって、丁寧に描き込まれた食べ物や街の景色を、質感豊かに見せてくれる。ヨーロッパの石造りの建物や道路と、そこで出会った人たちの生き生きした様子、そしてなんといってもおいしいものたちを含めて、その都市がもっている“空気感”が伝わってくるのだ。

 本書が紹介してくれるおいしいものたちは、高級レストランの料理といったたぐいのものではなく、パンやフィッシュ&チップスといった、街歩きをしながら手軽に食べられるものが多いのも特徴だ。肩肘はらずにおいしいものに出会おう!という著者のスタンスは、ヨーロッパへの移住というライフスタイルも含めて、とても軽やかだ。本書は、あなたの旅の頼りになる参考書にもなるだろうし、人によっては、ライフスタイルを見直すきっかけになるかもしれない。百聞は一見にしかず、だ。

文=水野さちえ