日本がマジ、ヤバい! 日米安保条約に隠された「3つの密約」の衝撃とは?!

社会

2018/12/10

『知ってはいけない2 日本の主権はこうして失われた(講談社現代新書)』(矢部宏治/講談社)

 1960年生まれの人は、2020年の東京オリ・パラの年に60歳、還暦を迎える。そしてこの年、同じく60周年を迎えるもののひとつに、「日米安全保障条約」(新安保条約、以下、日米安保)がある。

 還暦を迎えた人が、それを機に自分の人生の歩みを顧みるか否かは個人の問題だが、日米安保は違う。日本の一大事であり、先の世代にまで影響を与える取り決めだ。

 筆者も含めて、これまで日米安保に関して無関心だったり、政治家・官僚任せにしていたりした人は、ぜひこの機に、日米安保とはいったいどういう条約なのか、“隠された意図”も含めて日本が背負っている現状と向き合うべきではないか?

 本記事でご紹介する『知ってはいけない2 日本の主権はこうして失われた(講談社現代新書)』(矢部宏治/講談社)を読んで、強くそう感じさせられたのである。

 本書はズバリ、日米安保が締結された歴史的背景、秘匿された「3つの密約」、そして「日本が抱える大問題」を解説する内容だ。本書を読めば、「日本、マジ、ヤバい!」と中高生さえもLINEし合うのではないかというほど、衝撃的な事実が開示されている。

 なにがヤバイのかといえば、日米安保と本書が指摘する「事前協議密約(核密約)」「基地権密約」「朝鮮戦争・自由出撃密約」により、本書サブタイトルが指摘するように「日本には主権がない」、すなわち米軍が日本で好き勝手に振る舞える時代が延々と続くということだ。

●辺野古に基地ができても普天間は返還されない可能性も

 その振る舞いの内容は例えば、「核兵器を積んだ戦艦・戦闘機が日本に立ち寄れる」「アメリカは日本のどこにでも基地を置いて、そこから自由に国境を越えて軍事行動ができる」「自衛隊の基地も好きに使える」「米軍関係者や政府関係者は、米軍基地から自由に日本に出入国できる」などである。

 著者によれば、世界には日本同様にアメリカと安全保障に関する条約を締結している国は多いが、かのイラクやアフガニスタンでさえ、ここまで米軍の自由を許してはおらず、しっかりと国としての主権を守っているという。

 このままの状態が続くと、どういうことになるのか? 例えば、日本から飛び立った米軍機がどこかの国を攻撃すれば、その報復で日本にミサイルが飛んでくる可能性は高い。また、「事前通告により、核を地上配備する権利」(著者によれば、この密約も1960年の安保改定時に岸首相が口頭で交わしたという)により、将来的に米軍基地自体は縮小しても、長距離核ミサイルだけが日本に配備され、仮想敵国に向けられるといった事態さえもあり得るのだという。

 また、沖縄の辺野古に新しい基地ができても普天間は返還されず、自衛隊基地という名の米軍基地が存続する可能性もあるという。

 そこまで米軍に好きにさせておきながらも、有事の際、必ずしも米軍は「日本を守る義務は負わない」というのも、日米安保のいびつさのひとつだという。

●自民党結党の背後に暗躍したCIAと闇献金

 それにしてもなぜ、ここまで理不尽な日米関係ができあがってしまったのか。

 本書には、その詳細も記されている。ごく簡単に紹介すると、現在の日米安保は、60年1月19日に、岸信介首相(第56・57代内閣総理大臣)がワシントンD.C.で締結したものだ。そしてこの際に、先にあげた密約も取り交わされている。

 なぜこれほどスムーズに日本の未来が米国に明け渡されてしまったのかといえば、岸首相が米国のCIAの政治工作と資金提供によって、A級戦犯から結党したばかりの自民党の総裁へと育成された政治家だったからだという。そしてその後、数代にわたり歴代首相へのCIAからの闇献金は続いたそう。

 信じがたい話だろうが、本書には数多くの裏付け、証言等の数々が記載されているので、ぜひ、その目でご確認いただきたい。

 ご存じのように、岸首相は安倍首相の祖父にあたる。著者の推測によれば、安倍政権が安泰である限り、日米安保の闇が明るみに出ることはない。しかも、密約の存在に関しては、国会や討論の場で「そんなものはない、とウソをついてかまわない」という決まりなのだという。

 1960年代初頭、日米安保に反対する学生たちが、火炎瓶を手に抗議行動を起こした。もちろん、そのやり方は正しいとは言えない。

 では、私たちにどんなことができるのか。政府への真実の開示要求と正しい議論の仕方にはどんなものがあるのか。本書をまず読んで、そんなことを語り合ってみてはどうだろうか。

 国民一人ひとりが日本の将来を真剣に考える、いままさに正念場を迎えているのかもしれない。

文=町田光