東大卒のあの子は幸せになったのか? ケイコ先生、豊田真由子議員…総勢30人。あの人は今…

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2018/12/17

『東大を出たあの子は幸せになったのか 「頭のいい女子」のその後を追った』(樋田敦子/大和書房)

 東大女子。世の中の人が彼女らに抱くイメージはどんなものなのだろうか。とりわけ男子のそれは。本書『東大を出たあの子は幸せになったのか 「頭のいい女子」のその後を追った』(樋田敦子/大和書房)に例として挙げられている非東大男子の東大女子へのリアクションは、思わず「ネタかい!」と言いたくなるほど露骨であった。

 中学の時の元カレに現役東大生であることを伝えた途端、LINEブロック、合コンでは大学名で一発で引かれる、あるいは顔見世パンダでイジられ要員とか……ちょっとひどすぎじゃないですか! 東大女子だって女子ですよ。何でそんなに腰が引けてんだよ! 世の男子の東大女子への劣等感と言うかその裏返しと言うか、そのあからさまな態度には、読んでいてこちらが恥ずかしくなってくるばかりなのである。

 しかし、そんな笑い話で済むようなことなら良いのだが、東大卒で電通に入社後、パワハラと過重労働で命を絶った高橋まつりさんが受けた仕打ちが、「東大女子」という彼女の属性によるものだとすれば、本当に笑い事ではないのである。

 高橋まつりさんの東大に入るまでの神童っぷりとその努力を読むと、本当に胸が詰まる。まつりさんは、彼女を一人で育てる母親に経済的負担をかけまいと、小学生の時から、授業料免除や交通費まで考えて志望校を考えていたという。

 本書には、「お金があったら、私はこんなに勉強しなくていいのに」という、まつりさんの言葉が紹介されているが、いやいや、お金がないからって普通の子供はこんなに勉強しないだろう、ってぐらいの勉強量と根性と努力である。電通の自己PRでは、塾も学校もお金をかけてこなかった自分を、「0円東大生」と称する自虐ネタを振って入社した。本書を読むと、努力して努力して電通に入社して、その結果が、東大卒を否定されるような電通内のいじめだったことが明かされており(まつりさん以外の東大卒もいじめにあっていたという)、本当に浮かばれない。って言うか、努力って何だろうと思わざるを得ない。そして、東大女子という存在を無駄に敵視する男たちの情けなさが招いた結果はひどすぎる。一体彼女らの努力を軽視してみせることで、彼らは何を守ろうとしていたのだろうか。

 本書には、高橋まつりさんの他にも、有名な東大女子がたくさん登場する。あの「この、ハゲー!」「ちーがーうーだーろっ!」という元秘書への暴言が有名になった豊田真由子元議員の高校&東大の同窓生。あるいは、これまたW不倫で世を騒がせた山尾志桜里議員、『進ぬ! 電波少年』のケイコ先生。なかなか強烈なキャラクターの皆さんだが、総勢30人の東大女子のエピソードを読んでみると、その強烈なキャラの背後に思いを馳せたくもなる。

 努力家で負けず嫌いで、母親との確執を抱えている人が多い東大女子。頑張っている分だけ、噴出するものも多いのだろうか。東大女子だからという偏見とも日々闘わねばならないし。

 本書の東大女子の一人が言う台詞がある。

「東大出てよかったことは、なかなか愛されないけれど舐められない」

 これには笑った。しかし、「東大出てよかった」の部分に色んな言葉が入れ替え可能だなあとも思うのであった。「MBA取ってよかったことは、なかなか愛されないけれど舐められない」とか、「会社設立してよかったことは、なかなか愛されないけれど舐められない」とか、「年収1000万超えしてよかったことは……以下略」「大型免許取ってよかったことは……以下略」。でも、やっぱり「東大出てよかった」が一番しっくり来るのがちょっと切ない台詞である。

文=ガンガーラ田津美