【秘蔵エピソードをマンガで公開】「“ジェントル”大泉洋 in 旭川」

エンタメ

公開日:2018/12/21

大泉洋 in 東京・神田明神」


 前ページの初夏の旭川での撮影から、あっという間に時は過ぎ――真冬の12月17日。
『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』の公開直前イベントが東京・神田明神で行われました。

 映画撮影時、旭川の現場見学にまで伺わせていただいたこともあり、「“ジェントル”大泉洋 in 旭川」と題したマンガを製作(※ちなみに、2017年5月号『ダ・ヴィンチ』本誌で星野源さんの特集内で掲載した「カンヅメの夜」と同じくで、マンガ家の青木U平さんに描いてもらいました)、
 マンガを配信するなら一緒に記事も書こうと考え、いそいそと「ヒット祈願イベント」取材に向かったわたくし・編集M井。

 しかしながらです……。こういった会見場に取材に行かせていただく機会もあまりないのですが、いつもいつも大泉さんの会見では、両隣にいる記者さんたちが笑っています……。ノートパソコンに向かい、必死に登壇者の言葉を聞き拾いながら、リアルタイムで文字を打ち込む記者さん……。が、大泉さんのお話に思わず、何度も吹き出してしまっています……。

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 さすがです、先生……。

 同イベントには、大泉洋さんと高畑充希さんが出席。
 会場にはマスコミ以外にファンの方も。黄色い悲鳴の中、登壇された2人に、「かわいい!」というファンの方の言葉が多数。
「僕は“かわいい”と言われたいですから」とにんまりとする大泉さん。

 司会者からの今年一年を振り返る質問では、「毎日毎日忙しくさせていただいたおりました。よく働いたな、と。今年は夏と冬でドラマや映画公開が渋滞しいて、渋滞していた1年だった」「いま、俺何の宣伝してんの?とわからなくなってたりもしていた」と語る一方で、高畑さんは「前半4ヶ月くらいお休みをいただいて、海外旅行へ行っていて」とにっこり。 
 バリやパリ、ニューヨークに行ったことを明かし、「でもおかげで後半からえらいことになり(笑)いっぱい後半は働きました」。

 そして、12/14が誕生日だった高畑さんに対し27歳へのアドバイスなどを問われると、大泉さんは「27歳のころは騙され続けてたから。深夜バスに乗りまくってた」と以降はボヤきを連発。「海外なんか行先をしっていたらダメですよ!?」と高畑さんに海外旅行の“ダメだし”までも。
「27歳なんか一番トガっていたころですよね。だってバイク乗り回していたし。アドバイスとしてはウィリーに気を付けなさい、ということと、人をあまり信用しないほうがいいですね」と『水曜どうでしょう』を連想させる言葉に会場は大爆笑に。

 その後、高畑さんの演技に関して「嘘のない芝居をするのが素晴らしいと思います。だから訴えるものがあるんだと」と絶賛。映画も「社会的な作品で、使命感がある作品ではないかと思います。筋ジスの患者さんのため、世のためになればいいなと思っています」と語り、高畑さんも「とてもポップで大泉さん史上、大泉さんが一番かわいい映画だと思います。ぜひかわいい大泉さんを見に映画に来てくれたらと思います」。

 トークセッション後は今年を表す文字をそれぞれ披露。またバナナを観客へ配って回った。



 さて、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』。私は試写で先に拝見させていただいたのですが、エンドロール時、完全に泣いてはいましたけれど(※むしろ号泣)、それはすがすがしさな涙であって、明るく前向きにとっても「うん、がんばろう」と元気をいただけた映画でございました。

 鹿野靖明、34歳。重度の筋ジストロフィー患者。車いす生活の彼の唯一の武器は「しゃべること」。夜中なのに突然「バナナが食べたい」とボランティアのスタッフに言い出すところから、物語は始まります(以下、すこし映画に触れます)。
 健常者が夜中に「バナナを食べたい」と言った場合、「コンビニにでも行けば~?」と返したり、もしくは自分でも勝手に行けば良いかもしれないけれど、身体が動かない、障がいのある方がそれを申すとワガママにとらえられてしまうかもしれない……。
 あえて吠えまくってそれ(ワガママ)をしてきた、実在の人物・鹿野さん。今作ではその鹿野さんを大泉さんが、立板に水のごとくしゃべりにしゃべりまくって熱演されております。

 ワガママは“普通”に生きたいという彼の意志の表れ。だからこそ、しゃべる、吠えまくる。身体が動かない彼の唯一の武器(手段)は“しゃべる”ことだから。
 しかしある日、倒れて病院に運ばれた鹿野さんは人工呼吸器をつけることを迫られます。それは「しゃべる」を失うことを意味していて――
 と、鹿野さんのいつだってあきらめない姿勢はキラキラしていて、先生が演じる鹿野さんは“人たらし”で魅力的で、見終わったあとに「ああ、明日もめいっぱい生きよう、好きなことをたくさんしよう」と、試写拝見時の10月末日、ガチに地獄の3連続特集担当の最後の責了日だったにも関わらず、胸を熱くしながら編集部に大変素敵な気分で戻ったのです(結局、その日朝までかかりました)。

 また旭川に伺う以前に、原作の本も拝読していたのですが、その本には鹿野さんが写真で何枚も掲載されていまして。
 とにかく、似ている。似まくっている!! ビジュアルがそっくりすぎて、旭川では「あ、本で見た鹿野さんがいる!」と謎に“初対面人見知り”が発動するんじゃないか、と思うほどの徹底した役作りぶり。

 さすがです、先生……。

 ちなみに『ダ・ヴィンチ』1月5日発売号では大泉洋さんのインタビューも掲載されております。“鹿野ロス”にまでなったという、大泉洋さんの熱き今作への想いが語られていますので、こちらもぜひ合わせてご覧ください。

映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』
原作:渡辺一史『こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち』(文春文庫刊)
監督:前田 哲
脚本:橋本裕志
出演:大泉 洋、高畑充希、三浦春馬ほか
配給:松竹
12月28日(金)全国ロードショー
公式サイト:http://bananakayo.jp/
(C)2018「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」製作委員会

●原作は大宅壮一ノンフィクション賞、講談社ノンフィクション賞を史上初めてダブル受賞。筋肉が徐々に衰える難病・筋ジストロフィーでありながらも、夢や欲に素直に生き、皆に愛され続けた実在の人物・鹿野靖明さんと彼を支えるボランティアの人々と家族の姿を描いた人間ドラマ。