普段「トイレ」で何してる? 便秘の時でも楽しめる短編集『トイレ小説』

文芸・カルチャー

2019/2/2

『トイレで読む、トイレのためのトイレ小説』(著:雹月あさみ/イラスト:ヨシタケシンスケ/KADOKAWA)

 トイレ――そこはお酒を呑み過ぎた夜や翌日にこもったり、会社で心折れそうな時は便座に座って頭を抱えるそんな場所――と思ってはいないだろうか。

『トイレで読む、トイレのためのトイレ小説』(著:雹月あさみ/イラスト:ヨシタケシンスケ/KADOKAWA)はそんなトイレという空間で繰り広げられる、素敵な恋愛や、殺人事件、時にはトイレが主人公だったりする、さまざまなショートストーリーが詰まった短編集だ。WEB小説投稿サイト「カクヨム」で開催された「第3回カクヨムWeb小説コンテスト」を受賞している。

 実はこの本、ただの短編集ではない。トイレで読書を楽しむための工夫がなされているのだ。なんとトイレの(大)(小)にあわせて、長い話、短い話が読めるという。大体の目安は(小)が1章1分程度、(大)が1章5分程度である。「(大)と言っても、俺は超マッハで済ませるぜ!」という切れの良い貴方は(小)の短い話を読めばOKだし、そもそも(小)の場合は立ってする派の貴方には、トイレ以外で読むことをお勧めする。

 短編の中では「将来トイレはどうなっているか?」というSF的なストーリーもある。誰もが考えそうで考えないことかもしれないが、この物語では、なんとIOT(インターネット・オブ・トイレ)が確立している。

 尻紋(しりもん)センサーが便座から個人を特定、使ったトイレットペーパーの回転数から、BMI、体脂肪率、終いには尻圧(けつあつ)の測定まで可能な、壮大且つ麗しい未来が広がっているのだ。しかしそんな快適な日常に味を占めた、我々人間を待っていたものは――?この先は読んで確かめてみてほしい。

 カバーイラストと挿絵には、大人気絵本作家/イラストレーターのヨシタケシンスケ氏による描き下ろしがたっぷりと使われており、なんだかほっこりした気分になるのがいい。ストーリーと妙にしっくりきて、それが余計に物語をユーモラスにみせてくれるのだ。

「トイレってワンダーランド」。
 本書はきっと、そう思わせてくれる一冊となるに違いない。