子孫も辛いよ……。真田幸村と西郷隆盛の子孫が語る“ご先祖あるある”

エンタメ

2019/2/19

『ご先祖あるある! 直系子孫だから知っている 西郷さんと真田さん』(西郷隆太郎、真田明日美/天夢人)

 戦国時代の名将として知られる真田幸村と、明治維新に尽力した薩摩藩の武士・西郷隆盛。二人の生きざまが大河ドラマの題材となったのは記憶に新しく、歴史にあまり詳しくないという人であっても、誰もがそれぞれの名前を聞いたことがあるはずだ。

 たがいに歴史に名を残す偉人であるが、その子孫である真田幸村14代当主の長女・真田明日美さんと、西郷隆盛本家直系5代目・西郷隆太郎さんの対談を収録した書籍『ご先祖あるある! 直系子孫だから知っている 西郷さんと真田さん』(天夢人)が刊行された。

 本書では、私たちがなかなか知ることのできない、偉人の血を受け継いだ子孫ならではのエピソードが数多く紹介されている。

◎知られざる偉人たちの“直系子孫”たちの集まり

 偉人の血を受け継ぐそれぞれの子孫たち。実際、日本全国にどれほどの人数がいるのかを把握するのは難しいようだが、今なお「直系子孫たちの集まり」が定期的に開かれているという。真田幸村の子孫・明日美さんは、父親が「真田六文(もん)会」に参加した当時のエピソードを明かしている。

「幸村の話を肴に呑みかわした」と言っていました。最後は「私たちの先祖は徳川家康の首を取ったんだぞ!」と、ものすごく盛り上がったそうです。幸村が討ち取った家康の首は11メートル以上も飛び、会がお開きになるころには真田幕府が成立していたとか(笑)。

 史実としての正否はさておき、限られた血統を継ぐ人たちの集まりというのは非常に興味深い。また、西郷隆盛の子孫・隆太郎さんも親族の会に「約1100人が登録しています」と語っている。

西郷隆盛と3番目の妻、正妻である糸夫人をはじめとする西郷家の親族の会で「西郷二十四日会」というものがあります。【中略】隆盛の命日が1877年(明治10)9月24日なので、二十四日会と名前が付きました。隆盛を第1世代として現在は第7世代まで存在しており、登録制ではなく生まれたら家系図に追加していくシステムになっています。

 子孫の方々と酒を酌み交わす。歴史ファンであればそれこそ、一度は足を踏み入れたい場所である。

◎友だち付き合いや“歴史を受け継ぐ”ということにも苦労が……

 真田幸村と西郷隆盛。偉大な二人を先祖に持つ子孫という立場には、それなりの悩みもつきまとうという。友だち付き合いもその一例であるが、隆太郎さんは小学校時代の思い出を回想している。

小学生のときに授業で西郷隆盛が登場したとき、私が子孫だと分かったら、「西郷どん、西郷どん」と言われて、すごく嫌でした。それこそ若いころは、隆盛の子孫ということをずっと隠していました。

 一方、明日美さんは真田幸村の子孫として「仕事の合間に勉強したり、できるだけ真田ゆかりの地に行くようにしたりしています」と努力を明かす。

私は「子孫だから、真田のことを何でも知っている」と思われることが多くて……。家訓もなければ特別な勉強をさせられたわけでもなく、ごく普通の家庭で育ちましたので、話はちっとも盛り上がらないといいますか、相手をがっかりさせてしまうことがしばしばあり、複雑な気持ちになります。

 有名税という言葉もあるが、偉人たちの血を継ぐだけではなく、彼らの歴史を現代に受け継ぐという上でもまた様々な苦労があるようだ。

 歴史というのは、時代ごとの記憶を紡いだものでもある。今なお偉人たちの血を継ぐ明日美さんと隆太郎さんのかけ合いが本書の大筋であるが、さりげない一言から新しい視点が浮かび上がってくるような感覚もある。歴史好きな人たちには、ぜひとも読んでみてもらいたい一冊だ。

文=カネコシュウヘイ