「転職してはいけない人」「転職で失敗しがちな人」の3タイプとは? その傾向と対策

ビジネス

2019/2/20

『転職に向いている人 転職してはいけない人』(黒田真行/日本経済新聞出版社)

 大雑把に言って、人は人生の3分の1を眠って過ごし、3分の1を仕事に費やす。だからこそ、仕事はお金のためだけと割り切れないし、自分の仕事にやりがいや評価を求めたくなる。そして、ふと考える――転職しようかな? 今は「転職も当たり前」な世の中だし。

 超売り手市場、ネットにあふれる転職サイト、耳から消せないCMソング――I can fly!! 飛べるさ、きっと。でも、今の会社の肩書をとっぱらった「ありのままのあなた」にどれだけの価値があるだろう。

『転職に向いている人 転職してはいけない人』(黒田真行/日本経済新聞出版社)にはこんな厳しいフレーズも並ぶ。

・大卒、45歳、年収1000万の現状維持の転職は実は難しい
・経歴がカンペキでも採用されない人もいる
・転職失敗で年収900万から時給900円になった人もいる

 転職にはメリットだけではなく、リスクもデメリットもあるのだ。転職を支援する企業のCMですら「慎重に」とうたう転職戦線へ飛び込む前に、少しだけ立ち止まって考えてみよう。果たして「転職してはいけない人」とはどんな人なのだろうか?

■転職しちゃダメ(1) 客観的な自己評価ができない人

 転職に失敗する人の特徴のひとつが「客観的な自己評価ができない」ことだ。

 米国での心理実験によれば「自己評価は他者評価の2割増し」。他者評価は「その人の好調期と不調期の中間点」であるのに対し、自己評価は「ピークである好調期を評価点とする」ためにギャップが生じるのだという。

 この「自己評価の上振れ」は、組織内部や転職行動でさまざまなミスマッチを引き起こし、その結果「俺のがんばりが認められない」「評価が低すぎる」といった「評価不満」となって顕在化する。

 評価不満をつのらせ転職を考え始めた人は、「自分を評価しない会社を見返してやる!」という怒りと憎しみに満ちた“仕返しモード”に陥りがちだ。気持ちはわかる。けれど、忘れてはいけない。

“400万社を超える企業の中のたった1社を辞めたことよりも、自分の人生を自分のものと実感しながら、気分よく働き続けられることが何よりも重要です”

 35歳を越えると、とたんに求人数も転職先もガクッと減ってしまうそうだ。自分の客観的評価の中には、年齢を加味することを忘れないようにしたい。

 40代になって一度も転職経験がないという人は、転職活動も転職後の新しい職場環境への適応などにも不慣れのため、精神的にも苦しむことがありえる。自身を振り返って「転職は難しいかもしれない」と感じるなら、いきなり他社への転職ではなく、「社内での配置換えリクエスト」も選択肢として考えよう。

■転職しちゃダメ(2) 経歴がカンペキなのに不採用になる人

 倍率が高い難関書類審査を通過し、経歴がカンペキなのに、不採用になってしまう人がいるという。

・自己アピールが強すぎて、企業側が「ウチでは物足りず、すぐ辞めるのでは?」と考えてしまう
・面接時に積極的な提案や提言をするが、それが企業側の思惑とズレている
・役職などの肩書きにこだわりすぎてしまう

 …これらは、応募する側からすれば、必死のアピールであると同時に、ステップアップへの思いの表れでもある。しかし、企業側の視点はあくまでも「ウチの会社にどれだけ貢献してくれそうか?」を見ているのであって、応募者の人生を豊かにする視点で採用するのではない。会社のために働くことが、自分の人生の豊かさとつながるのだと考えなくては、相思相愛にはなれないのだ。

■転職しちゃダメ(3) 「いま、ここ、自分志向」の強い人

「いま、ここ、自分志向」は、転職後に後悔する人によくあるキーワードだという。

・いま=転職後すぐに、今いる会社と同じ条件や待遇・ポジションを求めてしまう
・ここ=これまでの業界や職種に固執したり、地理的条件にこだわりが強い
・自分=自分の能力はこれ以上、進化も成長もしないと考えてしまっている

 受け入れ側の企業からしてみれば、転職で入ってくる新社員がどれだけ活躍できるかは未知数である一方、新しい人材との化学反応による「会社の発展」を期待している。

 現状維持ばかり求めている人に高待遇を用意してまで、転職してきて欲しいと思う会社があるだろうか? 転職する人と受入企業がウィンウィンの関係にならなければ、採用する意味がないのだ。

 また、「この業界・職種だけの専門スキル」とあなたが考えたとしても、「異業種間でも通じるノウハウや思考方法=共通スキル」は必ずある。企業側がそれを求めているのなら、自分で選択肢を切り捨てるのではなく、自分も会社も成長させるチャンスだととらえて、新しいジャンルに飛び込む勇気も必要だ。

 評価や待遇は、結果に伴って後からついてくるもの。「時間を味方」にして、5年後、さらにその先のビジョンを持てなければ、期待した転職結果は得られないのだ。

 ここに挙げたのは一例だが、本書は転職を否定するものでもなければ、強く推奨するものでもない。「転職で後悔しないための考え方、心がまえ」が記されている。

 黒田氏は転職希望者に「転職理由」ではなく、「何のために会社や仕事を変えようとしているのか?」――つまり「何のために仕事をしているのか」を質問するという。

 その問いの先に「今とは違う会社・職務」という答えが浮かんだなら、ぜひ本書を手に取り、自分に合った「転職」のやり方を考えて欲しい。転職の成功・失敗の分かれ目は、まずここにある。

文=水陶マコト