「会社に使われてポイ」の残念な人にならないために、今すぐやっておくべきこと

ビジネス

2019/3/7

『会社に使われる人 会社を使う人』(楠木新/KADOKAWA)

 最近、なんだかサラリーマンへの風当たりが強い。ネットで発信力を持つ人たちが“脱社畜”を訴えたり、ひとつの会社で長く働くことに警鐘を鳴らすような主張も多くみられる。

 もちろん、ひとつの組織でしか生きていけない“会社に使われる人”になってはいけないが、会社に所属することにメリットがたくさんあるのも事実だ。本書『会社に使われる人 会社を使う人』(楠木新/KADOKAWA)は、会社組織が持つ「魅力」を再考し、むしろ“会社を使う人”になろうという本だ。「このまま、今の会社で働いているだけでいいのか…?」と悩んでいるサラリーマンに、本書は現実的な未来を示してくれる。

■会社は天国。使える資源は全部使え!

 会社に所属していると当たり前すぎて見逃してしまいがちだが、会社員にはフリーランスにはない特権がいくつもある。たとえば、組織や役職の肩書は、個人の信用につながる。それがあるからこそ会える人や、できるプロジェクトがあるはずだ。

 それ以外にも、スキル的な面でのメリットも大きいだろう。会社で働いていれば、マネジメント力、プレゼン力、文章力などが自然と鍛えられる。多くの人は、嫌な仕事をする対価として給料を貰っているように感じているかもしれないが、著者は、さまざまなメリットを享受した上で、さらに、給与“も”貰える――それが会社で働くことだと語る。

■資源を使って“もうひとりの自分”を作る

 著者は、こうした組織の資源を利用しながら、会社の外に“もうひとりの自分”を作ることを推奨している。それは、小遣い稼ぎの副業――ではなく、“どっちも本業”と言えるくらいの仕事だ。新しいチャレンジをしようと考えると、どうしても会社を辞めて起業・独立という考えになりがちだが、会社という基盤を持ちながら、もうひとつの本業を作ることはできる。

 本書では、そうした“転身”の例がいくつも紹介されている。たとえば、人事コンサルタント・社会保険労務士の田代英治さん。彼は、元々海運会社の人事部の課長だった。だが、田代さんは、自らの専門性をより高めたいと考えていて、在職中に社会保険労務士の資格を取得。会社の雇用契約は、毎日定時で出社しなくてもいい業務委託契約に変更した。現在は週3回元々の会社で人事をやりながら、人事コンサルタントとして20社以上の顧問先を抱え、セミナーや執筆も行っている。まさに、会社の資源を使いながら、“もうひとりの自分”を作って磨いた例である。

 本書では他にも、さまざまな“転身”の事例を紹介しているので、今後の身の振り方に悩むサラリーマンにとっては大いに参考になるはずだ。こうした“もうひとりの自分”を持つ働き方は、自分にメリットがあるだけではない。外部の人脈や知見を持っている人材は、凝り固まった組織に新しい風を吹かせてくれる。そういう人は、きっと社内でも重宝されるだろう。

文=中川凌