40以上の転職は過酷!? まだ間に合う人、もう手遅れな人は何が違う?

ビジネス

2019/2/22

『40歳からの「転職格差」』(黒田真行/PHP研究所)

 昔とは違い、いまどき中高年の転職はめずらしくない。いくつもの会社を渡り歩く人も多く、職種すらどんどん変わってきたという人もざらだ。だが、40代以降の中高年の転職状況がバラ色のようかといえば、そんなことはない。やはり、20代、30代での転職とは大きく事情が違っている。

 たとえば最近では、求人募集の際に「35歳まで」などと年齢制限が書かれていないことが多い。しかし、実際には35歳以上の人の履歴書は見ないという企業が大半で、35歳を過ぎると5年ごとに求人数は半減していくそうだ。あるいは、前職でどんなに高給をもらっていたとしても、40代以降の転職では給与が下がるのが普通だ。40代の転職後1年目の平均年収は約450万円だという。

 そんな、けっして甘くはない40代以降の転職でも、当然ながら、うまくいく人と、いかない人がいる。その違いはどこにあるのか? それを解き明かしてくれるのが、『40歳からの「転職格差」』(黒田真行/PHP研究所)だ。著者は、転職サイトの大手であるリクナビNEXTの元編集長という肩書きをもつ。

■中高年が重ねてしまいがちな転職の「残念なパターン」

 中高年での転職でうまくいかない人のパターンは、働くエリア、業界、業種、年収などに細かく条件をつける人だという。先にも述べたように、中高年の転職では年収が下がる覚悟をしておいたほうがいいのだが、前職と同じかそれ以上の年収を希望する人が多いようだ。また、それまでの自分の経験や人脈を活かそうと思って、前職と同じ業界・業種を望む人も多いそうだが、都合よくそのような求人があるとは限らない。

 本書にも、条件にこだわりすぎて転職がうまくいかなかった人の事例が数多く載せられている。あるいは、年収を上げたい一心で転職を繰り返しているうちに、どんどん年収が下がってしまった人の事例もある。いうまでもないことだが、退職後に次の仕事が決まるまでにあまり長い時間がかかったり、職を転々としすぎたりしているのは、再就職において不利になる。企業も「なにか問題がある人なのか」と考えてしまうからだ。

■中高年が狙うべき「転職先」の特徴は?

 もちろん、本書には中高年になってからの転職でうまくいった人の事例も載っている。そういう人たちは、たいてい働くエリア、業界、業種、年収などに条件をつけていない。ただ、そんな人も、たとえば「人と接するのが得意なので、そういう仕事をしたい」というこだわりをもち、その軸に沿って転職活動をしている。

 これは、「長年、自動車業界の営業」をやっていたからという理由で同業界・同業種への転職を望む人と、似ているようで異なる。もう一段階上の、一般化された形で自分の強みにこだわっているのだ。ちなみに、本書には「異業界の同業種」への転職は狙い目であるとも書かれている。

 現在の日本社会が人手不足なのは、まぎれもない事実だ。中高年での転職にもチャンスはあるだろう。そういう意味では、本書の冒頭に記された、「40歳を過ぎてからでも、転職はできますか?」という問いに対する、「職業を選ばなければ、また、年収や勤務地などの労働条件にこだわらなければ、すぐにでも転職できます」という著者の回答こそが、40歳からの転職についての嘘偽りのない真実であり、覚悟すべきポイントだ。

文=高坂笑/バーネット