モンキー・パンチの『ルパン三世』を生んだ「漫画アクション」に、あの人気作が38年ぶりに復活!『気分はもう戦争』が描く荒唐無稽&リアルな架空戦記

マンガ・アニメ

2019/4/24

『漫画アクション No.9 2019年5/7号』(双葉社)

「漫画アクション」がいかにして誕生したかを克明に描き出したマンガ『ルーザーズ~日本初の週刊青年漫画誌の誕生~』が、再び注目を集めている。というのも、4月11日に81歳で逝去したモンキー・パンチ氏の『ルパン三世』の連載がスタートしたのも「漫画アクション」で、『ルーザーズ』には、モンキー氏の才能を編集部が見出し、連載がスタートするまでの貴重なエピソードが描かれているからだ。

 そんな「漫画アクション」(双葉社)で1980~81年に連載され、単行本は40万部を超えるヒットとなった作品がある。『気分はもう戦争』(原作:矢作俊彦、作画:大友克洋/双葉社)だ。もう40年近く前の作品だが、いま読んでも面白い。

 物語の舞台は米ソ冷戦の渦中ではじまった中国とソ連の戦争。“趣味”や受験の失敗を理由に、戦争に参加する日本の若者たち。世界の行方を左右する戦争を描きながらも、そこには正義の高揚も、感動的な犠牲死もなく、あっけなく死んでいく人たち……。作品全体にはこの時代の若者のしらけた空気が漂っているし、壮大な戦争と陳腐な日常が並行して描かれる物語には、後の“セカイ系”と呼ばれる作品群の前兆も感じられる。

 一方で後の時代の日本では、本作の題名に似た『「丸山眞男」をひっぱたきたい–31歳、フリーター。希望は、戦争。』という論文も世を騒がせた(2007年、赤木智弘)。イスラム過激派組織に日本人の学生が加わろうとして騒動になったりと(2014年)、本作の物語に似た事態も発生している。日本にとっての戦争は、本作の発売された1980年台前半よりも“距離の近いもの”となっている。

 そんな今、その続編となる完全新作の読みきり『気分はもう戦争3(だったかも知れない)』が、38年の時を経て復活。「漫画アクション」5月7日号(4月16日発売)に掲載されることは大きなニュースとなった。その内容をサラッと紹介しよう。

『気分はもう戦争』は、現実の軍事情報や世界情勢を下敷きにしながら、架空の戦争を描く物語だったが、本作でもその流れを踏襲。沖縄の問題や移民の問題、アメリカの覇権の終焉に、中国の台頭などが舞台設定に盛り込まれ、フィクションながらリアルなストーリーが描かれている。絵とセリフの背後にある情報量の圧倒的な多さは、『気分はもう戦争』を読んだ人なら懐かしく感じられるはずだ。

 また大友克洋本人が「手描きです。全て手描きです」と公言したように、細部まで描きこまれたコマの精緻さも健在。大友作品らしい迫力の大ゴマも一部で見ることができる。また、沖縄で戦う勢力のなかには「西川口中華街義勇軍」という唐突なギャグも混在。舐めるようにページを読み込むのが楽しい作品だ。

 そして右翼少年のハチマキ、左翼の過激派上がりのめがね、白人のガンマン・ボゥイといった主要登場人物も歳を重ねた姿で登場。さあ物語はこれから……! というところで幕を閉じてしまうのだが、続編の可能性はささやかに告知されている。反響が大きいほどその実現は現実味を帯びるはずなので、ファンは買って・広めて応援を!!

文=古澤誠一郎

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