映画『名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』に合わせて読みたい、鈴木園子と京極真が初めて出会う、運命的なエピソード

マンガ

更新日:2019/5/14

『名探偵コナン』(青山剛昌/小学館)

 現在公開中の映画『名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』。劇場版第23弾作品となる今作も、公開初日から大きな話題を集めていた。

 原作の『名探偵コナン』(青山剛昌/小学館)は、もはや“国民的マンガ”としての地位を築いており、子どもから大人まで、幅広い層に厚く支持される作品だ。ダ・ヴィンチニュース読者のなかで、読んだことがない人はほぼいないのではないかと思う。

 万が一、未読の人がいるのならば、ぜひこの大型連休を利用して読破してみることをオススメしたい。しかし、本作は95巻も出ている長期連載作品。そのすべてを読むのは難しいところもあるだろう。そこで、映画『名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』を楽しむためにおさえておくべきポイントをいくつか紹介しよう。

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 まずは大前提となる、作品設定について。「もうわかってるよ……」という人が大半だと思われるため、端的に解説する。

 高校生探偵として名を馳せていた工藤新一(くどう・しんいち)は、あるとき、幼馴染である毛利蘭(もうり・らん)と遊園地でのデートを楽しんでいた。すると、黒ずくめの男たちが謎の取引をしている現場に遭遇する。事件の匂いを嗅ぎつけた新一は彼らの様子を探るも、背後から殴られ、意識を失う。そして無理やり飲まされた薬によって、なんと新一は小学生の姿に。ありえない状況に混乱しつつも、新一は黒ずくめの男たちを追うため、自らを「江戸川コナン」と名乗り、彼らの正体を突き止めることを決意する――。

 小学生の体になってしまったものの、コナンの頭脳は高校生探偵・新一のまま。居候させてもらっている毛利小五郎のもとでさまざまな事件に遭遇し、持ち前の推理力を活かし、数々の難事件を解決していく。

 今回の映画『名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』でも、コナンは大掛かりな事件に巻き込まれてしまう。そのストーリーのカギを握るのが、劇場版で初めてスポットライトが当てられるキャラクター・京極真(きょうごく・まこと)だ。原作で彼が初登場するのは、第22巻。蘭とその友人である鈴木園子(すずき・そのこ)が“男探し“と称して伊豆旅行を楽しんでいるエピソードだ。

 彼女たちが泊まっている旅館の息子であり、夏休みの手伝いに来ていたのが真である。しかし、その第一印象は最悪。ぶっきらぼうで、笑顔もない。

 ところが、その印象が一変する出来事が起こる。それは園子がとある事件の犯人に襲われそうになったときのこと。ナイフを突きつけられ、もはやこれまでか……と思った瞬間、駆けつけてくれたのが真だったのだ。彼は華麗な空手技で犯人を撃退し、園子への好意を告白。見事ギャップにやられてしまった園子は、真へ恋心を抱くことに。

 原作では、以降もたびたび園子と真の淡い恋模様が描かれる。けれど、彼らの恋路は一進一退。もどかしいくらいに進展しない。そんな関係に劇的な変化が訪れるのが、今回の映画『名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』である。

 園子と真の関係がフィーチャーされた今作では、殺人事件とふたりの恋模様というふたつの軸がテーマとして描かれていく。スリリングな展開と甘酸っぱい感情、ふたつの意味でドキドキさせられるだろう。

 これまでタイミングを逃してしまい、『名探偵コナン』をあまり読み込んでこなかったという人は、ぜひ、園子と真が登場するエピソードだけでもチェックしてみてほしい。きっと映画本編への理解度がグンと増すはずだ。もちろん、特にすることがない……と時間を持て余している人にとっては、96巻すべてを読破してみる絶好の機会である。

文=五十嵐 大