「是非シリーズ化してほしい」話題の青春ミステリー『本と鍵の季節』を読書メーターユーザーはこう読んだ

文芸・カルチャー

公開日:2021/7/2

本と鍵の季節
『本と鍵の季節』(米澤穂信/集英社文庫)

「古典部」シリーズや「小市民」シリーズで知られる米澤穂信氏の新たな青春ミステリーが大きな話題を呼んでいる。そのミステリーとはこのほど文庫化された、『本と鍵の季節』(集英社文庫)。放課後の図書室に持ち込まれる謎に、男子高校生2人が挑む6編の連作短編だ。米澤氏の他のシリーズと同様、この作品は、高校生らしい青春の爽やかさを感じさせながらも、どこかほろ苦い。そのビターな味わいに多くの人が惹き込まれている。

 主人公は、高校2年生の堀川次郎。図書委員の彼は、利用者のほとんどいない放課後の図書室で、同じく図書委員の松倉詩門と当番を務めている。堀川は謎めいた頼まれごとをされることが多く、松倉とともにそれに挑むことになる。ある時は、図書委員を引退した先輩女子から「亡くなった祖父が遺した開かずの金庫の鍵の番号を探り当ててほしい」と頼まれ、またある時は、図書委員の後輩男子から「テスト問題を盗もうとしたと疑われている兄の冤罪を晴らしてほしい」と頼まれる。そして、またある時は…。謎は日常の枠を超え、思いがけない方向へと進んでいく。

 読書メーターにはこの作品への多くの感想が寄せられている。

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きりん
図書委員である男子高校生2人組が身の回りの謎解きをする米澤さんらしい一冊。短編集の体をなしており、様々な伏線もあり、会話における両者の掛け合いと、高校生らしい繊細な心情描写が新鮮

シロップ
謎を解く楽しさと読後のこの後味が米澤穂信の良さ。今学生に戻ったら図書委員やりたいな。とてもいいコンビだった。是非シリーズ化してほしい。

Luna Mari
どの話も「なるほど」の連続でした。2人とも、物事を観察して考察する力に長けていてすごかったです。それと、息の合った推理の連携プレーにも感嘆しました。最後はほろ苦く、切ないです。どうかこれからも、図書室での平和な日々が続きますように。


かなり好きな短編集だった。登場人物の雰囲気や台詞回し等、やっぱり米澤穂信は面白い!ふたりの距離感が好きだし、お互いがお互いに出会えてよかったなと思っていそうなところも好き。ミステリーとしての内容はやや重いが、読み返したくなる面白さ。今年読んだ本の中では確実に上位、好き!

ごりら
米澤穂信作品に出てくる登場人物はあいかわらず皆聡い。聡明だから、無知ではないからこそ、気づかなくても良いことまで気づいてしまうのは辛いな。ほの暗い現実を青春の中に織り交ぜる描写が上手すぎる!

ポン
面白かった。高校図書委員の男子が二人で、謎解きをする。キレる二人で、壮快で、少し毒もあって、最後はちょっぴり切なくて、とても良い。サクッと読める。

イシグロ
軽みはあるけど、甘くない。舌にほんのり苦味が残る。 学生時代、頭の中身の似たような友人と交わした他愛のない会話などを思い出したりもして。 読み終わって顧みると、このタイトルも秀逸。この連作短編全体が、本の話であり、鍵の話であり、人生におけるある季節の話になっているのです。

 読書メーターユーザーが魅了されるのも納得。高校生らしい爽やかなやりとりと、謎の真相のビターさが絶妙。この作品を読んでいると、堀川と松倉の小気味よい会話に惹き込まれ、一緒に謎解きをしているような気持ちにさせられるのだ。

 あなたもこの2人の高校生たちとともに、図書室に持ち込まれた謎に挑んでみてはいかがだろうか。米澤穂信氏のこの青春ミステリーの世界をぜひともあなたも体験してみてほしい。

文=アサトーミナミ

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