「キュッキュ~」日本一有名なアザラシ“ゴマちゃん”が帰ってきた! 小学3年生になったアシベと、ゴマちゃんの愛おしい日常

マンガ

公開日:2022/4/25

小3アシベ QQゴマちゃん
小3アシベ QQゴマちゃん』(森下裕美/双葉社)

 日本一有名なアザラシの赤ちゃん――といえば、きっと大半の人がこのキャラクターを思い浮かべるだろう。そう、“ゴマちゃん”だ。

 ゴマフアザラシの赤ちゃんであるゴマちゃんの初登場は1988年のこと。「週刊ヤングジャンプ」で連載された『少年アシベ』で、主人公のアシベ(小学1年生)が飼うペットとして描かれた。少年マンガにしばしば登場する“不思議な能力で主人公をサポートしてくれるキャラクター”ではなく、ゴマちゃんは、基本的になにもできない。アシベと一緒に遊び、ご飯を食べ、眠る。それだけなのだ。しかし、それだけでいいのだ。ゴマちゃんはなにかと戦う必要なんてないし、特異な能力を発揮する必要だってない。ただ、アシベの隣にいる。それがゴマちゃんに求められている最大の役割だ。

 さて、そんなゴマちゃんが登場する『少年アシベ』だが、1994年に連載が終了してしまった。ところが読者からの厚い支持を受け、2000~2004年には続編の『COMAGOMA』が連載された。さらに2017年からは『青少年アシベ』もスタート。成長したアシベとゴマちゃんとのやり取りが描かれたことで話題にもなった。

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 そしてこのたび登場するのが、『小3アシベ QQゴマちゃん』(森下裕美/双葉社)。このアシベシリーズ最新作は、主人公のアシベが小学3年生になったという設定で、ちょっとだけやんちゃで元気いっぱいな日々を描き出している。もちろん、そこにはゴマちゃんの姿もあるから安心してもらいたい。

 物語の展開は既存の作品と似た雰囲気。アシベとゴマちゃんの日常が淡々と描かれていく。しかし、なかにはそのやんちゃっぷりがわかるシーンも。

小3アシベ QQゴマちゃん

小3アシベ QQゴマちゃん

 成長して力が強くなったのか、ゴマちゃんをいじるアシベの力もそれなりなものに。無論、言葉を話せないゴマちゃんには反論や抵抗をする術もなく……。が、表情で訴えかけるという、とてもコミカルでほんわかするエピソードだ。

小3アシベ QQゴマちゃん

小3アシベ QQゴマちゃん

 その他にも、いたずらっ子ざかりのアシベはゴマちゃんと一緒に、全力全開で遊び回る。それをお母さんに叱られ、お父さんに窘められるも、アシベとゴマちゃんの勢いはとどまることを知らない。彼らは“ふたり”でいればどこまでも無敵で、日常生活のすべてが楽しいものへと変化するのかもしれない。その様子を見ていると、アシベとゴマちゃんの関係がとても羨ましくなってしまう。

 ぼくがアシベシリーズを好きなのは、きっとそこに「羨ましさ」を覚えるからなのだろう。大人になり、忙しい日々を過ごすなかで、アシベやゴマちゃんの日常は理想(というと大げさだけれど)であり、「なんか良いなぁ」と思わされるものなのだ。この「なんか良いなぁ」と感じるものは、意外と少ない。だからこそぼくは、こうしてまた、アシベシリーズの世界観にどっぷりハマってしまう予感がしている。小学3年生になったアシベとゴマちゃんの日々を見ては「なんか良いなぁ」とニコニコしながら。

文=五十嵐 大

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