大雨がつづく梅雨の時期。「集中豪雨」や「土砂災害」が起こる原因は?/面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ

スポーツ・科学

更新日:2022/7/20

 集中豪雨、極度の乾燥、高温など…近年、世界各地でこれまでの記録を更新するような異常気象が観測されています。

 今回ご紹介する『面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ』では、著者でもある気象予報士の資格を持つサイエンスライター・今井明子さんが「地理」と「地学」をもとに意外と知られていない「世界の天気」や「異常気象の謎」を、豊富な図解とともにわかりやすく解説します。

 なぜこの地域は雨が少ないのか、1日の寒暖差が大きい理由など、『面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ』を読めば謎が解ける! 子どもから大人まで学べる、おすすめの一冊です。

 ここ数年、日本を含め東アジアで集中豪雨が頻発しています。大雨による災害としてまずあげられるのが洪水です。そして、土壌がやわらかくなり、土砂災害も発生しやすくなります。

※本作品は今井明子著の書籍『面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ』から一部抜粋・編集しました

面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ
『面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ』(今井明子/産業編集センター)

面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ

集中豪雨のしくみ

積乱雲が世代交代を繰り返す

 梅雨末期は、激しい雨が長時間降り続く集中豪雨がしばしば発生し、洪水や土砂災害などを引き起こします。激しい雨は積乱雲がもたらすのですが、本来ひとつの積乱雲の寿命は30分〜1時間程度です。ではなぜ、数時間にわたって大雨が降り続くことがあるのでしょうか。

 それは、積乱雲が世代交代するからです。

面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ

 積乱雲は上昇気流によって発生します。暖かく湿った風(暖気)が山にぶつかったり、寒気と出合ったりすると、暖気が上昇して積乱雲が発生します。このような積乱雲が発生しやすい場所に向かって地表付近の暖かく湿った風が吹き続けると、同じ場所で次々に積乱雲が発生しやすくなるのです。

 積乱雲は最盛期を迎えると雲内に冷たい下降気流が発生します。ここでもし、上空を流れる積乱雲を移動させる風と、地表付近を流れる暖かく湿った風が同じ方向だった場合、積乱雲が上空の風に流されて移動し、元いた場所では冷たい下降気流と地表付近を流れる暖気が出合います。すると、同じ場所でまた積乱雲が発生します。つまり、同じ場所で何度も積乱雲が発生することになり、大雨が続くのです。

 このようなしくみで積乱雲が発生し続ける現象のことを「バックビルディング現象」といいます。このとき、積乱雲が上空の風でベルトコンベヤーのように流されて、その後ろにどんどん新しい積乱雲ができていくため、積乱雲が列をなして、強い雨の降る場所が細長い線のような形になります。このような降水帯のことを「線状降水帯」といいます。

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