『金太郎』あらすじ紹介。まさかり担いで熊と相撲… だけじゃない! 山奥から大出世した少年の物語

文芸・カルチャー

公開日:2023/6/25

 桃太郎や浦島太郎と並ぶ、有名な作品が『金太郎』です。金太郎と言えば、金と書かれた腹掛けに大きなまさかりが特徴、そして熊と相撲をした姿を多くの方が思い浮かべます。その一方で、金太郎が何をしたのか説明できる方は少ないでしょう。本稿では、桃太郎や浦島太郎と並んで有名な作品である『金太郎』についてご紹介します。

金太郎

『金太郎』の作品解説

『金太郎』は平安中期の武将「坂田金時」の幼少期を伝説化したものと言われています。坂田金時の活躍は今昔物語集や古今著聞集、古事談などにも書かれています。小さい頃から森の中で自然と触れ合いながら育ち、片親という環境でも強く優しく、たくましい姿へ育ち立派な侍へと成長する金太郎は、まさに子どもの「理想」です。

『金太郎』の主な登場人物

金太郎:生まれた時から力持ちの少年。優しい性格の持ち主。

熊:森の大将のような存在。

木こり:川に橋を架ける金太郎の姿を目撃した木こり。

『金太郎』のあらすじ​​

 相模国にある足柄山の山奥に生まれた「金太郎」。お母さんと一緒に暮らす金太郎は、生まれた時から力が強く、心優しい少年でした。大人と相撲をしても勝ってしまうほど力が強かった金太郎は、母からもらったまさかりで木こりのまねをするようになりました。

 ある日、森の奥から出てきた熊に組みつかれます。しかし、金太郎は熊を投げて返り討ちにしました。これにはすっかり熊も地面に手をつき謝って、自分を家来にしてほしいと言います。それを見た森の動物たちも同様に、金太郎の家来となりました。

 それから、毎朝母におにぎりを作ってもらい、森へ出かけるようになります。家来の動物たちと一緒に森を歩きまわり、良い場所を見つけて家来たちと相撲を取ったり、一緒におにぎりを食べたりしました。

 帰り道もかけっこや鬼ごっこをして遊びながら行くと、大きな川に当たりました。引き返すことを提案する家来たちに対し、金太郎は近くにあった大きな杉の木に手をかけると、木を倒して橋を作ってしまいました。

 これを岩陰から見ていた木こりは、金太郎の後ろについていきます。

 家来たちと別れた後も、谷を渡ったり崖を渡ったりして、山奥の家に帰った金太郎。木こりが追いつくと金太郎は家におり、母に動物と相撲を取った話をしていました。その時、窓から顔を出した木こりに誘われ、金太郎は相撲を取ります。真っ赤な顔で押し合う2人。しばらくして、木こりから「もうよそう。勝負がつかない」と告げられます。

 改めて話を聞くと、木こりは「碓井貞光」という源頼光の家来のひとり。主人から強い侍を探すよう命令され、全国各地をまわっていたのでした。

 金太郎の父は坂田という立派な侍だったので、この言葉に母も金太郎も大喜び。家来の動物たちも金太郎に別れを告げに来ました。

 何日もかけて都へ着くと、新たに「坂田金時」の名を与えられ、頼光の家来になりました。

『金太郎』の教訓・感想​​

 力が強いだけでなく、優しく素直な性格だったから森の動物たちも金太郎に従い、頼光の家来として活躍できたのかもしれませんね。

<第4回に続く>

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