『シンデレラ』あらすじ紹介。美しい心の持ち主には幸せな結末が、汚れた心の人には不幸が待っている!?

文芸・カルチャー

公開日:2023/6/26

「ある日奇跡が起きて、幸せになる」といった夢を願うのは人の性ですよね。これは頑張り続ければいつか報われる、といった教訓のために語られることも多い童話『シンデレラ』の影響もあるでしょう。実はこのシンデレラ、著者によって名前が異なることをご存じでしょうか。本稿では、グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール作の『アッシェンプッテル―灰かぶり姫のものがたり―』をご紹介します。

シンデレラ

『シンデレラ』の作品解説

「シンデレラ」は民間伝承に該当します。さまざまな国で同じようなストーリーが語り継がれていますが、シャルル・ペローの『Cendrillon(サンドリヨン)』を翻訳したものがよく知られています。一方、今回扱う「アッシェンプッテル」は、グリム ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カールの作品。ちなみに、アッシェンプッテルとはドイツ語でシンデレラのことを表しています。サンドリヨンもアッシェンプッテルも「灰かぶりの少女」という意味で、内容もほぼ同じことから、どちらも同じように「シンデレラ」として親しまれています。

『シンデレラ』の主な登場人物

アッシェンプッテル(シンデレラ):父の再婚によってできた、新しい家族にいじめられる日々を過ごす。

継母:見た目はきれいでも心は真っ黒な、アッシェンプッテルの義理の母。つらい仕事をアッシェンプッテルに押し付ける。

姉たち:きれいなドレスや宝石が大好きなアッシェンプッテルの義理の姉2人。母と同じく心は真っ黒。

王子様:花嫁を探すため、王様が開いたパーティに参加する。

『シンデレラ』のあらすじ​​

 病気でお母さんを亡くし、お父さんが連れてきた新しい家族と一緒に暮らすことになった少女がいました。

 彼女は新しい母親につらい仕事を押し付けられたあげく、2人の姉にいじめられて、灰かぶり「アッシェンプッテル(シンデレラ)」と呼ばれるようになります。

 ある日、王様が3日間開くパーティで、王子様が花嫁を探すという話が舞い込みます。少女もパーティに参加したいとお願いしましたが、継母は無理難題を条件に認めてくれません。少女のまっすぐな姿をいつも見ていた小鳥たちの協力で解決するものの、結局「着ていく服がない」「薄汚いむすめはダメ」と言われ、継母や姉たちは少女を置いて、パーティへ行ってしまいました。

 悲しみに暮れる少女を見た小鳥たちは、金銀のドレスやきらきらした靴を持ってきました。それを身に着けた少女は、パーティに参加します。美しい姿の少女を見た王子は、彼女をダンスに誘います。夜更けまで踊り続けるふたり。

 少女に興味を持った王子は、彼女がどんな人か知るために家までついて行こうとします。しかし、正体を知られると大変なので少女は隙を見てドレスを着替え、すばやく家に帰ることで身を隠しました。

 パーティ最後の日、王子は帰り道をオイルでべとべとにしていました。少女が階段を駆け下りた時に、靴が引っかかって、脱げてしまいます。そうして彼女の「金の靴」を手に入れた王子は「この金の靴がぴったり履けるお姫様を、お妃にしたい」と宣言しました。

 足がきれいな姉たちは大喜びで立候補するも、サイズが合いません。すると、継母が姉たちにナイフを手渡し、親指を切り落として靴を履こうとしました。

 しかし、小鳥たちが嘘を暴いて「本物のおよめさん」へ王子を誘導します。少女が靴を履くと、サイズはぴったり。王子様と少女は結ばれ、幸せに暮らしました。

『シンデレラ』の教訓・感想​​

 辛いことが起こっても、頑張って生きていればいつか報われるという希望が込められた作品です。一方、シンデレラをいじめていた継母や姉たちは悲惨な目にあいます。優しく美しい心が幸せを運んでくれるのかもしれません。

<第5回に続く>

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