ジュール・ヴェルヌ『十五少年漂流記』あらすじ紹介。少年15人が無人島に漂着!? 子どもたちだけのサバイバル生活が始まる!

文芸・カルチャー

公開日:2023/6/29

 ジュール・ヴェルヌ『十五少年漂流記』は、子どもの頃に読んだことのある方も多いのではないでしょうか。本作はアニメ化や、映画化が何度もされ、本作をモチーフとして作られた作品も多く、1888年の発表以来、世界中で愛されている小説です。本稿では、そんな『十五少年漂流記』のあらすじをご紹介します。

十五少年漂流記

『十五少年漂流記』の作品解説

 SFの父と呼ばれる作家ジュール・ヴェルヌの代表作のひとつが、この『十五少年漂流記』。1888年に発表され、原題の『Deux Ans de Vacances』から『二年間の休暇』と訳されることもあります。

 少年向けの冒険小説として大定番で、日本においても古くから親しまれており、小学校や中学校などで頻繁に推薦図書になる作品でもあります。

『十五少年漂流記』の主な登場人物

ブリアン:漂流した15人のひとり。頭の回転が速く心豊かな少年。

ゴードン:漂流した15人のひとり。島の初代大統領をつとめる。

ドニファン:漂流した15人のひとり。負けず嫌いでブリアンとの対立が多い。

イヴァンズ:セバーン号の操舵手。ウォルストンに拉致・監禁されていた。

ケート:セバーン号の乗客でセバーン号の反乱に巻き込まれる。

ウォルストン:セバーン号で反乱を起こした悪党たちのリーダー的存在。

『十五少年漂流記』のあらすじ​​

 1860年。ニュージーランドのオークランドにあるチェアマン寄宿学校に在籍している14人の少年たちは、夏休みの旅行を心待ちにしていた。はやる心を抑えられない少年たちは、出港の前夜に帆船スラウギ号に忍び込むも、船を港に繋ぎとめていたロープがほどけてしまい、乗り合わせた水夫見習いの黒人少年も加えた15人は遭難してしまう。

 15人の少年たちを乗せたスラウギ号は、ある島に漂着した。無人島かと思われた島であったが、少年たちは人が住んでいた形跡がある洞穴を発見。そして、この島を「チェアマン島」と名付けると、スラウギ号から洞穴へと拠点を移す。

 こうして、年長者であるブリアン、ゴードン、ドニファンの3名が中心となり、チェアマン島での生活が始まった。まず、リーダーとして初代の大統領を選出することになり、最年長で穏健派のゴードンが就任。ゴードンは15人が共同生活をする社会の基礎固めを順調に進めていく。

 やがて1年が過ぎ、ゴードンの大統領としての任期が終わると、少年たちは再び選挙を行う。二代目の大統領になったのはブリアンだったが、ことあるごとにブリアンと対立していた負けず嫌いのドニファンにはこれが面白くなく、3人の取り巻きを連れて洞穴を出て行ってしまう。後悔の念に苛まれながらも、島の反対側の岸にたどり着いたドニファン一行は、浜辺に打ち上げられて気絶している水夫・イヴァンズを発見する。

 一方のブリアンたちも、森の中で倒れている女性・ケートを発見し、この島にいるのは自分たちだけではないことを知る。そして、ドニファンたちに危険が及ぶことを危惧したブリアンは連れ戻すために出立。そこでヒョウに襲われているドニファンを救出し、ふたりは固い友情で結ばれる。

 ケートによると、ふたりは商船セバーン号の乗員であったが、水夫たちが起こした反乱により海上で船が崩壊。首謀者であるウォルストンという男に拉致されボートで「チェアマン島」に流れ着いたという。そして、イヴァンズもまた凶悪な一味から逃亡してきたと語った。

「チェアマン島」は今や少年たちだけのものではなかった。もし、凶悪なウォルストン一味に見つかれば、略奪どころか殺されてもおかしくない。戦うことを決意した少年たちは、まず大凧に乗り空中から一味の居場所を特定。そして、一味のひとりを捕縛し情報を聞き出した少年たちは、綿密な計画を練り、イヴァンズとともにウォルストン一味の殲滅に成功する。

 いよいよ脱出の時がきた。ウォルストン一味が乗ってきたボートで島を離れた少年たちとイヴァンズ、ケートは、運よく汽船を見つけ、救出される。汽船の船長はスラウギ号の遭難を知っていた。そして、船長のはからいで、船は予定を変更しオークランドへ直行。少年たちは2年ぶりの帰還を果たすのであった。

<第80回に続く>

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