アンデルセン『おやゆび姫』あらすじ紹介。小さな女の子の大冒険!ヒキガエルやモグラとの結婚を逃れ、最後に結ばれたのは…

文芸・カルチャー

公開日:2023/7/4

 読み聞かせや絵本でおなじみ、アンデルセン童話の定番『おやゆび姫』ですが、原典を読んだことのある方は少ないのではないでしょうか。そこで今回はアンデルセン『おやゆび姫』のあらすじを分かりやすく解説します。自然豊かなデンマークの風景を思い浮かべながら読んでみるのはいかがでしょうか。

おやゆび姫

『おやゆび姫』の作品解説

『おやゆび姫』は『みにくいアヒルの子』などで有名なデンマークの童話作家、ハンス・クリスチャン・アンデルセンの代表作のひとつです。作者の故郷の原風景が反映されており、作中では小川や麦畑に暮らす生き物たちが描かれています。

『おやゆび姫』の主な登場人物

おやゆび姫:魔法の大麦から生まれた、親指の半分ほどの背丈の女の子。

女の人:子どもがほしいと願う女性。姫の育ての親。

魔法使い:女性の願いに銀貨12枚で応え、魔法の大麦を与えた。

ヒキガエル:息子と結婚させるため、姫を誘拐する。

コガネムシ:姫を木の上に連れてくるが結局放り出してしまう。

野ネズミ:切り株に住む世話焼きのおばあさん。

モグラ:金持ちで物知りだが高慢で、鳥たちを小馬鹿にしている。

ツバメ:怪我で冬を越せず、モグラの穴に落ち凍りついていた。

花の王子様:王冠をかぶった、花の妖精たちの王子様。

『おやゆび姫』のあらすじ​​

 むかしむかし、あるところにお花が好きな女の人がいました。その女の人は子どもが欲しいと思っていましたが、なかなか願いが叶いませんでした。そこで魔法使いのおばあさんに相談すると、魔法使いのおばあさんは不思議な鉢をくれました。鉢から芽がぐんぐんと伸び、美しいチューリップが咲きました。女の人がチューリップにキスをすると花が開き、中にかわいらしい小さな女の子が座っていました。女の子はおやゆび半分の大きさであまりに小さかったので「おやゆび姫」と呼ばれるようになりました。

 人間の女の人と暮らしていたおやゆび姫ですが、ある日、割れ窓から入ったヒキガエルによりさらわれてしまいます。川面に浮いた葉っぱに閉じ込められてしまいましたが、姫の美しさに心打たれたメダカたちに助けられます。楽しい葉っぱの川下りも束の間、今度はコガネムシにさらわれて森へ。夏の間は花の蜜としずくでしのぎましたが、やがて厳しい冬がやって来ました。

 麦畑の野ネズミのおばあさんの家でお世話になっていたある日、客人のモグラが穴を掘って訪ねてきます。穴に横たわる息絶えたツバメに、モグラは見向きもしません。姫が干し草の毛布を敷いてあげると、ツバメは息を吹き返しました。春になり、ツバメに緑の森へ行こうと誘われましたが、野ネズミを孤独にしたくないからと姫は見送りました。

 夏になると、姫とモグラとの結婚話が持ち上がります。モグラと結婚したくない姫は、乗り気な野ネズミをよそに泣き暮らしていました。式と冬が迫る晩秋、刈り取られた麦畑で嘆く姫の前にツバメが降り立ち、南へ行こうといいます。姫は誘いに乗り、ツバメに連れられ南の国へ。

 南の国は楽園。ツバメの巣にほど近い花畑に降ろしてもらった姫は、花々に自分と同じ大きさの人がいるのを見て驚きます。花の妖精である彼らの王子様に求婚され、おやゆび姫はすべての花のお妃様になったのでした。

『おやゆび姫』の教訓・感想​​

 自分も困っているのにツバメを助けた優しいおやゆび姫。そんな姫だから最後に幸せになれたのかもしれません。

<第12回に続く>

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