グリム童話『ヘンゼルとグレーテル』あらすじ紹介。貧しい夫婦は子どもを森に捨てた。大飢饉による食糧難が生んだ悲劇

文芸・カルチャー

更新日:2023/7/26

ヘンゼルとグレーテル』は、グリム童話でも有名な作品です。「お菓子の家」が出てくるメルヘンなイメージがありますが、その内容にはシリアスな部分もあり、大変奥深い作品です。今回は、グリム兄弟『ヘンゼルとグレーテル』のあらすじをわかりやすく解説します。

ヘンゼルとグレーテル

『ヘンゼルとグレーテル』の作品解説

『ヘンゼルとグレーテル』は、グリム童話に収録されている作品です。長引く飢饉により、口減らしのため親が子どもを捨てるというショッキングな話ですが、中世ヨーロッパの大飢饉の記憶を後世に伝えるための作品という見方もあります。

『ヘンゼルとグレーテル』の主な登場人物

ヘンゼル:主人公の少年。

グレーテル:もうひとりの主人公でヘンゼルの妹。

母親:ヘンゼルとグレーテルの母。

父親:ヘンゼルとグレーテルの父。

魔女:ヘンゼルとグレーテルを「お菓子の家」に入れもてなすが、実はある目的があった。

『ヘンゼルとグレーテル』のあらすじ​​

 ある大きな森の前に貧しい夫婦が暮らしていました。夫婦にはヘンゼルとグレーテルという子どもがいましたが、飢饉により、その日の食事もろくにありませんでした。このままでは全員が飢え死にしてしまうから、子どもを森に捨てようという母親。父親は「子どもたちがかわいそうでとてもそんなことはできない」と言いますが、最後には承諾してしまいます。両親に連れられ森の中へ入っていく兄妹。その途中でヘンゼルは、パンをちぎって道に落としていきます。両親に置いて行かれた兄妹は、パンのかけらを目印に帰り道を探しますが、パンは鳥に食べられ目印は消えていました。

 帰り道を失った兄妹は、森の中を3日ほど彷徨うと、ケーキで作られた「お菓子の家」を発見します。ふたりが夢中になって食べていると、中から老婆が現れ、ふたりを家の中に誘い、食事や寝床を与えてくれました。

 親切なこの老婆の正体は、実は魔女で、真の目的は子どもを殺して食べることでした。魔女はヘンゼルを小屋に閉じ込め、グレーテルには窯に入ってパンの焼け具合を確かめろと命じます。どうやら魔女は窯に入ったグレーテルを閉じ込めて、焼いて食べるつもりです。

 ところが、魔女の企みに気づいたグレーテルは、窯への入り方が分からないふりをして、魔女に手本を見せるように促します。魔女が窯に入ると、グレーテルはかんぬきを掛けて魔女を閉じ込めました。魔女はそのまま焼け死に、グレーテルはヘンゼルを小屋から助け出します。魔女の家にあった財宝を持って、ふたりは元いた家に帰りました。

 家に帰ると、母親は病気で亡くなっており、子どもを捨てたことを後悔していた父親は、帰ってきたふたりの姿を見て喜び、持ち帰ってきた財宝で苦労をすることなく、楽しく暮らしました。

『ヘンゼルとグレーテル』の教訓・感想​​

 甘い誘いに乗って魔女の罠にかかってしまったヘンゼルとグレーテル。美味しい話には裏があるということが学べます。

<第11回に続く>

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