古い時代の習慣? 埋葬された遺体の発掘調査をしていると…新たな謎に直面する【ゾンビ伝説】/意味がわかると鳥肌が立つ話①

文芸・カルチャー

公開日:2023/8/19

意味がわかると鳥肌が立つ話』(蔵間サキ:編著、toai:絵/Gakken)第1回【全13回】

累計460万部を突破した「5分後に意外な結末」の公式ライバルシリーズ「5分後の隣のシリーズ」より、『意味がわかると鳥肌が立つ話』をお届け。一見何気ない物語のようだけど、意味がわかると、その意外な展開に思わずゾワっと鳥肌が…。怖いだけではなく、感動や笑いなど、さまざまなタイプのショートストーリーを収録。読み進めるうちにどんどんはまっていく……「鳥肌」エピソードをお楽しみください。

【怖い場面あり、苦手な人は閲覧注意!】

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意味がわかると鳥肌が立つ話
『意味がわかると鳥肌が立つ話』(蔵間サキ:編著、toai:絵/Gakken)

ゾンビ伝説

 私は、大学で民俗学の研究をしている。子どもの頃、ホラー映画が好きだったことの影響で、世界の「ゾンビ伝説」についてが、研究の対象だ。

 私がこの国に来たのは、フィールドワークのためだ。この国では、遺体を納めた棺桶を土に埋める、土葬の習慣がある。それが、ゾンビ伝説のもとになっていると考えたのだ。

 政府から特別に許可をもらい、埋葬された遺体の発掘調査をさせてもらうことができた。

 この国では棺桶は、石でできた石棺が一般的だ。そのためか、風化せず、ミイラ状になっている遺体も多かった。

 それらの遺体を何十体も見て、気づいたことがあった。手足の骨が砕かれたり、また、爪がはがされ、歯が折られた遺体が数多くあったことだ。

 それは、古い遺体だけではなく、比較的最近の遺体もそうだった。

 おそらく、今でも、死体が甦る「ゾンビ」を恐れる気持ちが、人々の間にはあるのだろう。ゾンビは、手を前につき出して歩き回り、噛み付き、仲間を増やしていく。

 だから、死後復活してゾンビになっても、そういうことができないよう、埋葬するときに、手足の骨を砕いたり、爪をはがしているのだろう。

 しかし、どの地域で聞き取り調査をしても、遺体を埋葬するときに、そのような処置を施しているという証言を得ることができなかった。

 現代では廃れてしまった、古い時代の習慣なのだろうか?

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