船の中で6人を突き刺して殺害した事件。事件の真相を語る、その男の正体とは…?【事件の一部始終 】/意味がわかると鳥肌が立つ話②

文芸・カルチャー

更新日:2023/8/21

意味がわかると鳥肌が立つ話』(蔵間サキ:編著、toai:絵/Gakken)第2回【全13回】

累計460万部を突破した「5分後に意外な結末」の公式ライバルシリーズ「5分後の隣のシリーズ」より、『意味がわかると鳥肌が立つ話』をお届け。一見何気ない物語のようだけど、意味がわかると、その意外な展開に思わずゾワっと鳥肌が…。怖いだけではなく、感動や笑いなど、さまざまなタイプのショートストーリーを収録。読み進めるうちにどんどんはまっていく……「鳥肌」エピソードをお楽しみください。

【怖い場面あり、苦手な人は閲覧注意!】

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意味がわかると鳥肌が立つ話
『意味がわかると鳥肌が立つ話』(蔵間サキ:編著、toai:絵/Gakken)

事件の一部始終

 幽霊船のように洋上をさまよっていたクルーザーの中から、7人の死体が発見された。

 検死の結果、6人はナイフで刺されて殺され、残りの1人は、自殺したと結論が出された。

 乗船名簿を見る限り、この船の乗員・乗客は、死んでいた7人に間違いない。6人を殺害した犯人が、最後に自殺をしたものだと思われた。

 その検死結果は、間違っていない。これから私が語る話は、この船で起きた事件の真実である。

 事件が起きたのは、航海10日目の朝のことだ。乗客の1人が、突然、別な乗客にナイフを突きつけ人質にとった。

 そして、他の人間の通信機器をすべて奪って海に投げ捨て、また、乗員に命令して船の通信機器を破壊した。

 つまり、船は、大海に浮かぶ孤島のような状況に陥ったのだ。そして、犯人は、他の6人を縄で縛り自由を奪った。

 1人の女性が、「来月結婚するの。助けて!」と懇願した。しかし、犯人は、そんなことに同情するそぶりも見せず、淡々と作業をするように、6人の身体に次々とナイフを突き刺し、殺害した。その間、わずか、1時間あまり。

 犯人は、犯行の間、ずっと無表情であった。前日までの彼は、ニコニコとよく笑う朗らかな中年男性だった。縛られた人々を殺していく様子は、まるで悪魔に取り憑かれたとしか思えなかった。

 6人全員を手にかけると、犯人の男は、何か呪文のような言葉を大きな声で叫び、自分のお腹にナイフを突き立て絶命した。

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